しかし、失望させられたからといって出来の悪いアルバムだとは限らない。『Fever to Tell』ではインディーズ系ノイズ・ロックが大爆発している(ギター・ロックの超大物プロデューサー、アラン・モールダーの起用は大正解。彼なしでこれほどの成果があり得ただろうか?)。ギタリストのニック・ジナーが繰り出すジョン・スペンサーばりのリフ、ドラマーのブライアン・チェイスが打ちこむ激しいバックビートに乗って(最近のアート系ガレージ・ロックのスタイルに従い、このバンドにはベース奏者が不在)、カレン・Oは自由奔放な熱気と挑発的なセクシャリティを振りまきながら、あえぎ、声を震わせ、絶叫する。シンプルな編成のおかげで、すべてが生々しく、ごつごつとした感触をもち、彼らのライヴの雰囲気がそのまま伝わってくる(特に、リラックスした「Cold Light」と熱のこもったシングル曲「Date with the Night」)。
それにしても、EPと同じレベルに達しているトラックがひとつもないのは残念な限りだ(不思議なことに、本作にはEPのトラックが1曲も収められていない)。つまり、いかにもキャッチーなロック・アンセムが見当たらないのだ(ここには「Miles Away」も「Our Time」も「Mystery Girl」もない)。その代わり、『Fever to Tell』には、最初から最後まで実に手堅くまとまったトラックが並んでいる。悪くない出来であることは確かだ(現在、数多くのアルバムがリリースされているが、その中に最初から最後まで通しての鑑賞に耐えうるものが一体どれぐらいあるというのか?)。だが、ヤー・ヤー・ヤーズの真の実力はこんな程度ではないという気がするのだ。『Fever to Tell』は、ファースト・アルバムとして、まずは合格点といえる。願わくば、2作目こそ大傑作になりますように。(Robert Burrow, Amazon.co.uk)
ちょっと、いかれちゃってるだけ。
そして、このバンドのギタリストはとても素敵な感じなのです。
ギリギリの所を保ったまま突っ走って行く。しかも、何曲
目になってもそれが全く衰え無い。最早説明はいらない感
じだが、その音のルーツの咀嚼力も並大抵では無い。ボー
カル、カレン・O嬢の耳を奪うボーカリゼイションは、リ
ディア・ランチ、PJハーヴェイ、ソニック・ユースのキ
ム・ゴードン等のパンク精神を持ち合わせた女性ボーカル!
を連想させ、それが、ガレージ、パンク、ハードロックを
全て消化した様な楽器陣と絶妙のケミストリーを作り上げ
る。ロックン・ロール・リバイバルは彼女達がとどめだ。
「ヤー!NY」。