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デモクラシーの冒険 (集英社新書)

価格: ¥756
カテゴリ: 新書
ブランド: 集英社
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遊び心満載で楽しく作られたデモクラシーについての対談本 ★★★★★
編集者か姜氏らの意向か分からないが普通の対談本やこの出版社の他の新書にはないようなくだけた遊び心満載の、少し珍しい作りの本である。最初は二人の対談前のメールのやり取りで始まって本格的な対談の前にも普通は収録しないような雑談、冗談の言い合いから始まり、テッサ氏がいきなり真面目な話を始めると姜氏が「あれ?対談もう始まっているのですか?」「本当に始まってしまった…」などと反応したりする。いくつか使用されている写真も少し面白いもので、対談中は対談の難しさに編集者が頭を抱えたりする。…といった具合の雰囲気で楽しく為されるデモクラシーについてのお喋りといった内容だ。二回目以降はふざけた部分は読み飛ばしていたが最初はなかなか面白いと感じた。偶にはこういう本があるのもいいと思う。

内容は私見ではそれなりに踏み込んでおり、デモクラシーについてまだちゃんと考えた事がないという段階の人なら十分な刺激と知識を得られる内容だと思う。終始最初に述べたようなくだけた雰囲気かというと実はそうでもなく真面目な話が始まるととことん真面目なギャップを見せる。時に二人は政党制それ自体を批判的に検討し、マニフェストを通販カタログと批判しまた効率重視の二大政党制や一院制はどうなんだ、世論は本当に世論なのか、人々は何故政治に無関心になるのか、投票を義務付けたらどうか、支持政党ナシの人で集まるべきではないか、外国人は何故デモクラシーに参加できないのか(これほど日本の政治を真面目に考えている姜氏には如何なる参政権もない!)など色々な事を述べ、また提案する。当然我々はこの全ての賛同したりする必要はない。例えば投票を義務付けるという強引な民主主義と関心の押し付けとでも呼ぶべき姜氏の提案には私は賛同しかねる。他にも二人は現在の民主主義の実態を批判しつつもさすがに民衆批判になると色々とマズイので、その根拠は主に国民の声を正しく反映していないというものになっている。世論は捏造されており決して多数意見ではないといった具合に。しかし二人は有権者や国民や本当の世論を信用しすぎているかもしれない。二人が気に入らない結果が生まれているのは実は国民の多数意見をストレートに反映した結果かもしれないとも思った。あとは半ば余談ではあるが、二人は恐らく他人からは左派と分類される学者ではあると思うが、四章にて社会契約論を批判し、それが現実の歴史に根ざしていないとして、二人ともが「歴史を忘却してはならない」と保守主義の元祖バークなどを評価する下りは、完全に保守主義者と重なる所でだいぶ意外だった。

私見ではデモクラシー=民主主義について考える事はなかなか楽しい。教育も誰もが評論家的に語れる話題というが、それは子供含めて誰もが必然的に教育に大きく関わる事になるからだ。デモクラシーもまた現代の民主主義国家に生きる我々にとっては必然的に身近であり、関らざるを得ないもの、自分がそれに参加し、担い、あるいは積極的にそうしないにしても必ず民主的決定の下で生きる事になるような不可避の存在である。そのようなデモクラシーについて一度よく考えてみたり、これは変なんじゃないか、という思いを掘り下げてみたりする事は有益だろう。そのためのきっかけや考えるヒントとして本書は、平易で手軽かつ割に濃度もあるという事で、十分に有用であると思う。
政治学者の対談 ★☆☆☆☆
 軽い感じの雑談です。
 読者対象がどこへ向けられているのかはわかりませんが理想論が多くでてきます。
 マイノリティナショナリズムともいえるものでしょうか。
 なぜか日本で世界的な評価ということになっているお二人の対談ですので
 学ぶところも多い人もいるのかもしれません
安直な本づくり ★★★☆☆
 この本の書評に関しては他のレビュアーの方の発言でほぼ言い尽くされているように思われる。そう、おそらく「本当に読ませたい人間には届かない、ブルジョアによる緊張感のないバカンス・トーク」という評が適切だろう。
 この本の姉妹編である「ナショナリズムの克服」の、姜尚中氏の対談相手の森巣博氏がモーリス=スズキ氏のご主人であるということから、出版社のねらいが見えてこないだろうか。
 しかし、上記の事実はわたくしには衝撃であった。あんな亭主を持っていたとは。テッサ氏のファンだったのに、がっかり。
読ませたい人は読まないだろう ★★☆☆☆
タイトルからして古い。思想系の本なんかで「~の冒険」という
タイトルがやたらにはやった記憶がないでもないのだが、いまさら
これはないだろう。
また他レビュアーも指摘されているように、二人の議論の対立
点がほとんど見られないのも気になるし、テッサ・モーリス・スズ
キ氏の意見の殆どは同氏の『自由をたえ忍ぶ』をリピートしている
にすぎない。ほんとに対談してんの?という疑念もふつふつとわい
てくる。
要するにこの本は同じような趣向、同じような思想傾向をもつ二人が
ウンウンと頷きあいながら対談(?)して、同じような趣向、同じような
思想傾向をもつ読者がウンウンと頷きながら読むもんなのだろう。
少なくとも二氏が本当に読ませたいと思っている人たちに、その声は
届かないだろう。
「敵」を矮小化してあげつらうことなど誰にでもできる。
政治の閉塞感をめぐる対話 ★★★★☆
 本書は在日朝鮮人の研究者とオーストラリア在住の研究者の対話である。二人の共有する問題意識はイラク戦争後ののデモクラシーに関して現代人が共有する閉塞感の原因を明らかにし、それを打ち崩す糸口を見つけ出すことである。
 二人の対話はデモクラシーの歴史や政党、そして市場などにまで及び、現在の政治が何故これほどまでに空洞化しているのかを分かりやすく簡潔に解明してくれる。そして、その分析から生まれた解決の糸口も非常に遊び心があり、興味深い。確かに問題がないとはいえないが、この解決策は希望を失わない二人のポジティブな姿勢を感じさせてくれる。
 二人の問題意識が非常に近いため、対話のテンポが非常に良い。その上、読者に配慮して専門用語をあまり使わずに議論されている点も親切だ。内容の良さももちろんだが、こういったわかりやすさも本書の特色といえるだろう。