若干なりとも西洋政治思想史をかじった人間からすると、かなり物足りない内容である。それは、記述の簡素さと、必要最小限度の内容とに起因すると思われる。それ故に、深く学びたい人間は講義や他の書物によって補わなくてはならないだろう。こう言っているものの、知識がほぼ完全に欠けていた第4章(杉田敦氏執筆)は大いに役立った。先の要因が上手く働いたと言える。
要するに、入門者が読むにはなかなかいい1冊であるが、入門者とは言えない人間が読むには物足りなさを感じる1冊である。
全体的な解説書としては、福田歓一「政治学史」や
藤原保信・飯島昇蔵「西洋政治思想史I・II」、
藤原保信『西洋政治理論史』がありますが
いずれも初学者が読み通すのは少し大変であると思います。
本書は全くの独学でも読み通せるでしょう。
(その分取り上げられている思想家は少ないですが)
本書よりやや多くの思想家を扱っていて同様に読みやすいものとしては
藤原保信・白石正樹・渋谷浩『政治思想史講義』があります。