新しい世界観の提示にまでは至っていない
★★★★☆
生物からインスピレーションを受けた新しい技術の紹介書。しかし新しい世界観の提示にまでは至ってはいない。
テーマは最高
★★★★☆
現在,科学技術の進歩により極小のものまで調べられ,生物の機能の解明が進んでいます.
生物学研究者が純粋に生物の謎を解明する場合と,
工学研究者が機械に応用するために生物の機能を解明する場合とがありますが,
身近なものに利用されるなど応用や発展の点からすると,
断然面白みのあるのは後者で,本書も後者の内容です.
はじめに研究の概要と基礎事項を説明してあり,その後前半は
自浄作用のあるハス,クモの糸,ヤモリの指の表面構造,鮮やかなチョウの構造色
の機能を,研究の変遷を交え,企業で応用された例などを紹介します.
後半は,昆虫の飛翔機構,ものの構造の話と続きます.
それぞれの研究者がそれぞれの目的で研究した結果をバイオ・インスピレーションという分野にくくったので,
多少の関連はありますが,前半はオモニバス形式に近いです.
まだまだこれからの研究分野なので仕方ないでしょうし,それぞれの話をコンパクトにまとめて簡単に読み進められるのも悪くはないですが,
できれば,章を追うごとに研究の深くまで進むスタイルの方が
このテーマはもっと面白みが出せたのではないかと思います.
奇をてらった書名にしたかったのはわかりますが,
書名だけから内容をイメージできるのか不明です.原書の和訳ではありますが.
j自然界のテクノロジー
★★★★☆
奇妙な題目なので興味を持って読んだが、なかなか面白い。蓮はなぜ汚れない?ヤモリはなぜ壁を登って、逆かさまになっても落ちない?自然界の不思議を解明して、それを私たちの現代社会に生活に生かす開発等さまざまな自然界の驚くべき能力が書かれていて驚きの本です。
自然のすごさ
★★★★☆
「ヤモリの指」という題名と、表紙のきれいな写真に惹かれて買いました。
小学生の頃に一度だけ自然のヤモリを見たことがあるけれども、それ以降は動物園に行ってもあまり気にはならなかった。
今思えば、そのときに見たヤモリは蛍光灯のカバーに逆さまになってくっついていた(ここで、何でだろうと思うか思わないかが普通の人と学者の違いなんだろう)。爪では引っかかることができないのに何でだろう。読んでわかった!そういうことか!
この本はバイオ・インスピレーション(生物からインスピレーションを受け、それをまねようとする科学の分野)で作られた技術や今後製品化されそうな研究の紹介をしている。
ヤモリの指についてはほぼ性質がわかり、実験段階ではそれをまねたものを作ることができている。
こうやって身の回り(もしくは世の中)を見てみると、案外自然をまねたものがあるものだなと感じる。人が苦心して作り出した新技術は自然の世界ではごく当然のものだったりすることも往々にしてある。自然は何億年もかけて完成させた技術を人は数十年で作り出してしまうのだからすごい。
トヨタで有名になった「ジャスト・イン・タイム」方式も実は自然の中で昔から使用されていたと知ったら皆驚くだろう。
自然のすごさ(台風など、パワーではない分野で)を再認識するのに手軽な本です。僕たちができないことをいとも簡単にやってのけてしまうのですから