１９歳の冬　雪の深々と降り積もる深夜
三角パンというあだ名(小学生時)の男の部屋で
２人ペロペロと　とりとめもなく酒を飲んでいた

そんな夜だった。

RADIOがかかっていた。
ウィルコ・ジョンソンの曲が聴こえてきたんで　ふと、ラジオに神経がいったんだ。
「センスいいね」って感じで。

ディスクジョッキーが何か言っていた。聴き取れなかったけれど。期待があったな。
飲みながら「次は何かな」と、低い音で流れるラジオに耳を澄ませていたんだ。

で、次の曲が始まった。
思わず「ちょっと黙ってくれ！」と　三角パンを制していた。
凄かった。

夜空を見上げる遠い星の放つ　どこか寂しげな光の様な

それでいて　確固たる意思の瞬間の連続があった
Lou Reedの『Berin』を初めて聴いた時の事を思い出していた。

その曲はChet Bakerの「My Funny Valentine」

有名な曲らしかったけれど　世辞に疎い俺には聴いた事のない曲だった。
でも　逆に　今ではそのことが嬉しい。

で、徹夜が苦手な俺には非常に珍しく　そのまま寝ずに起き続け
翌日　レコード屋に走ったってワケさ。