放浪の途上での発見が存分に発揮されていて人の心の奥深くにある
ミステリーを描くことに成功している。
この作品に収められた短編群のストーリーはいずれも、ある観念・論理に捕らわれてその道を踏み外した(orしかけた)人々(狂人たち)を、正気と狂気の境界に踏み止まった“詩人”であるガブリエル・ゲイルがその渕から救う(or癒すor弔う)というものである。想像の果て、思考の果て、論理の果てに狂気の口に飲み込まれそうになった者たちにとって、ゲイルの言葉は優しく重みをおびて響くに違いない。
探偵小説に場を借りた、思想・哲学小説。(←彼の作品は押し並べてそうであるが…)