BLとしても芸人世界物語としても面白い
★★★★★
久我作品の「何でやねん!」を始めとするお笑いシリーズが大好物の読者ならもう必買、必読、待ってました!の一冊でしょう、これは。
隼斗がお笑いの世界に戻るまで、それから新人お笑い芸人を絡めた後日談、そしてそのまた一年後の書き下ろしと長短含め3本仕立て、後半から「何でやねん!」などに出てきた懐かし?メンバーもちらほら出てきます。
特に土屋×相川コンビが好きな読者ならもう嬉しくて泣きだしたくなるのでは?ぐらい、二人がカッコいい四十歳中盤で登場。この本のメイン時田×隼斗よりもそっちに目映り?する勢いのかっこよさを披露してくれています。
内容も隼斗のお笑いと旅館に対する葛藤、若手芸人との確執と細かい心理描写が面白く、よく書けています。時田との仕事とプライベートの両方で付き合っていかなければならない苦労や葛藤は、ちょっと土屋×相川の「何でやねん!2」とテーマが類似していますが、時田の性格がかなり変わっている?ので気になりません。
そして隼斗よりも興味深いのがちょっとヘタレの入った攻、時田。
敏腕マネージャーなのに、プライベートでは即効泣いてみたり、押しが弱かったりと可愛い性格が萌え。
逆に受の隼斗は妙に男らしくて(笑)、二人のアンバランスにみえてバランス取れた関係が面白いです。
草間さんのイラストもふとしたセリフ入り一コマがツボはまり。
BLとしても楽しめますが、芸人世界物語としてもすごく面白い本です。
恋と仕事と
★★★★★
芸人シリーズ四作目。
シリーズ第一作目の「なんでやねん!」から続けて読んでいますが、
久我さんのこのシリーズは、恋と仕事の両方
(むしろ少し仕事寄りではないかというくらい)に対する登場人物の葛藤が
これでもかというほど描かれていて、なんだかじわりと胸が熱くなってしまいます。
今回も「お笑いが好きだ」という受けの気持ちがひしひしと伝わってきて
読んでいてちょっと苦しいくらいでした。でも、そこがいい。
攻めがヘタレ敏腕……って? と思っていましたが。
なるほど。時田は、ちょっとこの人かわいいな〜と思えるとても魅力あるキャラでした。
そしてツンデレだけど男前受け隼斗。
久我さんの描く受け、特にこの芸人シリーズは本当に格好いいですね。