船である以上、戦争の際自分は関係ありませんといえない商船群。
もともと全然違う華やかな目的のために造られたにもかかわらず、
戦時下で黙々と地味な作業を繰り返す商船のファンです。
なかなか模型にもならないし、本を読みたくてもないという中、
こういう形で概要をまとめた本が出たというのは大変うれしい。
ファン層は限られると思うが、趣味があう人にはたまらない一冊だと思う。

英米のマーチャントマリンと日本の商船隊に凄く興味あります。
両方とも潜水艦/爆撃機と対峙した勇気ある男たちです。
ルシタニア号、ブリタニック号、氷川丸、戦時標準船などのメジャーなテーマについての資料は多く存在しますが、その他のテーマにはなかなか資料が出ていないのが現実です。
そういう点でこの本はいいですね。
洋書ならばリバティーシップに関する専門書は少なくとも２冊は出ているというのに...

紹介されるエピソードは第一次および第二次世界大戦の商船の運命。
兵員や貨物の輸送だけでなく、改装して空母になったもの、病院船となったもの、仮装巡洋艦になったものなどが紹介されている。そして昨今よく耳にするようになったロジテック(兵站)の重要性、あるいは危機意識がよく分かる本であった。
本文中にあった「商船ファン」って本当にいるのだろうか。