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輸送船入門―日英戦時輸送船ロジスティックスの戦い (光人社NF文庫)

価格: ¥840
カテゴリ: 文庫
ブランド: 光人社
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意気込みは買う ★★☆☆☆
まずタイトルに問題がある。
サブタイトルのほうが本題であり、メインのタイトルの内容とは異なる。「輸送船」全般の歴史、定義、構造的な特徴(おそらく雑多ではあるが)、徴収の方法などについては書かれておらず、日本とイギリスの第2時世界大戦中に限定した運用方法や統計数と、個々の輸送船の沈没シーンが述べられている
(ただし兵員・民間人の輸送に話が偏っている)。

次に文章力に問題がある。
特に日本側の記述にやたらと「しかし」という文字が出てくるが、その後の文章が逆接的なつながりを持った文章とは思えない。また、漢字の間違い、日付の間違い(9月に入港して8月に出港といったような)、図の番号が重なっている、列挙するときの文章での(見出し)数字の使い方が分かりづらい(大項目と小項目の違いが分かりづらい)など、細かい点ながら修正するべき点が多い。

しかしながら日頃あまりスポットを当てられていない問題であり、着眼点は評価する。
特に日本の兵員輸送船の実態は紹介されることは少なく、特筆に価する。
またイギリスのシーレーン保護も、アメリカの物量があったゆえであることを統計数から読み取れる(もちろんそれだけではないが)。

各輸送船ごとの話については、本のタイトルから考えると例が偏っているのではないかと思う。「このような運用をした結果、襲撃されたものの無事を得た」とか「船団が襲撃される前に、潜水艦の居場所を判明させて回避をした」というようなエピソードがあっても良いのではないか。

執筆について監督(監修?)を行う人がいれば、もっと良書になりえたかもしれない。
兵站作戦の犠牲を強いられた日本商船の軌跡 ★★★★★
本来海軍と商船はクルマの両輪であるべきなのに、当時は軍尊民卑思想横行で、ただただ軍部の下働きに終始し、シーレーン施策貧困のため膨大な船腹・人命・資源が海底の藻屑となった経緯を子細に検証した労作に敬意を表したい。
太平洋戦争、どうやっても勝てない ★★★★☆
学研M文庫から出ている「海上護衛戦」が太平洋戦争における日本のロジスティクスの崩壊をマクロの視点から描いているが、こちらはそれを各輸送船や輸送船団のエピソードを紹介しつつミクロの視点から紹介している。
これと海上護衛戦を共に読むと、ミッドウェー海戦で勝ったから、ガダルカナルで買ったからといって太平洋戦争に勝てるほど甘い話ではなかったことを痛感する。個々の作戦で勝利したところで、それを支える輸送船が失われてゆけば、いつか必ず破綻することは逃れられない。

そして著者は、あとがきで帝国陸海軍の下請け業者として過酷な任務を負わされて軍人を大きく越える損害率を出した商船船員の姿と、現代日本の企業社会の実態とをだぶらせて警告する。重い警告である。

本書では、連合軍の船団護衛についても紹介されているが、あまり充実しているものではなく正直物足りない。第二次大戦の中でも最も過酷な戦いのひとつであった北海輸送船団(PQ船団)についても触れられているのはPQ17、18船団についてのみである。
ただし、北海の戦いはそれだけで充分本1冊が出来上がるほどにエピソードがあるのであるから、そこにこだわるのは的外れではあるだろう。地中海を突破してマルタ島に補給をしたタイガー船団についても触れて欲しかった。
興味深い商船遭難の具体例 ★★★★☆
第二次世界大戦中の日英商船喪失量を比較すると、
■イギリス --- 11330総トン 2426隻
■日  本 --- 8430総トン 2568隻
となっている。
また、ヨーロッパ戦線に於ける一隻当たり最悪の犠牲者を出した商船はドイツのもので、9331名という記録がある。ちなみにその三位まではドイツが占め、犠牲者数は6666名、5594名と続く(日本の最悪のケースは4999名)。

日本が海上輸送を軽視していたことは、いろいろなところで指摘されているが、他国に於いても安全な商船の航行というのは難しい問題だったのだと思われる。

しかし、ヨーロッパ戦線に於ける一隻当たりの犠牲者数の八位までが四桁なのに比べ、日本の場合は30位でも1428名なので、兵員輸送に貨物船を使ったことからしても、その人命軽視の姿勢は著しかったと言わざるをえない。

輸送船一般を論じている部分だけでなく、詳細に記された、日英独の輸送船が遭難したいくつかの具体例も非常に興味深い。
渋い内容だ ★★★★☆
輸送船という重要でありながら、日本軍では全く無視・軽視された存在を
中心に据えたという画期的な本。なかなかないんですよ、こういう本。
この本を読んでびっくりするのは、米英軍が兵隊を客船で運び日本軍は貨物船で運んだというくだり。
貨物船は当然人を乗せる構造になっていないので眠ったり、トイレに行く
(そもそもトイレも十分ない)こと自体が兵隊にとって重労働となり、
戦地についてすぐ働ける状況に無かったこと、そしてなにより悲惨なのは
攻撃された時、すぐに脱出できる方法は何も無くただ船室の中で死んで
いくしかなかったことがわかるのだが、あまりに非人道的で怒りに震える。
こういう本を読むと日本はやはり戦争すべき国ではなかったというのがよくわかります。
戦力を自らつぶす国はやはり自滅するということです。