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チャンピオンたちの朝食 (ハヤカワ文庫SF)

価格: ¥819
カテゴリ: 文庫
ブランド: 早川書房
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トラウト・フィッシング・イン・アメリカ? ★★★★☆
暗いですよね、これって。
だから映画化された時、「ええー?」と
思った。全然テイスト違う映画になったようですが。

暗くて、重くてやりきれない、
ボネガットが前に進むためのみそぎ、みたいな作品
でしょうか。

子供の頃はエラく読みづらかった
ですが、今は他の作品と同じように読めます。

落ち込んでもあきらめない、枯れない
ボネガットが大好きでした。

ありがとう!!
人類学者ヴォネガットのアメリカ文化フィールド・ノート ★★★★★
 『チャンピオンたちの朝食』とはアメリカ人が牛乳をかけて食べるシリアルの一種です。なぜそんなものが標題になっているのかと言えば、この作品は人類学を学んだヴォネガットが現代アメリカ文化を記録したフィールド・ノートだからです。これら記録された物はヴォネガット自身を創ったものですが、それらアメリカ文化はみんな屑(トラッシュ)なので、小説自体もゴミ屑の寄せ集めだというわけです。『パームサンデー』でヴォネガットは冗談半分で自己作品を採点していますが、本作は「C」という厳しい評価になっています。また、ヴォネガット作品はアメリカで発行されるとすぐに翻訳されるのが常でしたが、本作は原著が発行されてから訳本が出るまでずいぶん時間がかかりました。それも病んだアメリカ文化に侵されて自分自身も屑同然となっているドウェイン・フーヴァーが主人公であり、、なんともやりきれない気分が横溢しているからでしょうか。つまり、救いのない物語なんですね。
 けれども面白くないのかというと、決してそんなことはありません。むしろ考現学者(現代の文化を考察する社会学・文化人類学者)ヴォネガットの面目躍如です。アメリカ文化の汚点が批評的に描かれます。マーク・トウェインの『不思議な少年』のような呪詛に満ちています。そういった意味では、遺作『国のない男』(2005年)と多くの共通点が見られます。
 本作で、それまでの作中人物(キルゴア・トラウト、エリオット・ローズウォーター、フランシーン・ペフコなど)も含めて頭の中のガラクタをきれいさっぱり捨ててしまったヴォネガットは次作を書くのが大変だったはずです。そんな意味では、ターニングポイントになった重要な作品です。
 
自由意志について ★★★★☆
この本は自由意志についての本である。自由意志を扱った小説をおれは他に読んだことがない。ヴォネガットは心の底では自由意志を否定していた気がするが、この本では自由意志が存在する。そういう哲学に興味のある人が読むべきだろう。おれはこれを読んで、不意に涙ぐんでしまった。自由意志の問題は悲劇を生む問題だ。
「ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを」を読んでおきたい。 ★★★★☆
ヴォネガットの傑作「ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを」「スローターハウス5」で大活躍した脇役キルゴア・トラウトが遂に主役の1人に昇格する作品。ヴォネガットの70年代最初の作品で、彼のヘタウマなイラスト満載。頻出語は「その他いろいろ」。作者自身が小説の中に登場してキルゴア・トラウトと対面し、創造主として彼を振り回す等、従来の小説の常識を破る作品だ。作品中作品であるキルゴア・トラウトの小説のあらすじは相変わらずの面白さ。しかし、この本を堪能するには、これまでのヴォネガットの作品、特に「ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを」を読んでおいた方がよいだろう。何しろ、エリオットまで登場するのだから。そういう意味では楽屋落ち的な部分が多い作品だ。そして、社会を告発するというよりは、作者の頭の中のとめどもないプロットの奔流を吐き出した実験的な小説と言えるだろう。従来の彼の作品にはないついて行きにくさを私は感じる。「パーム・サンデー」の中での作者自身の評価によると、本作の評価はC。ちなみに、「タイタンの妖女」〜「スローターハウス5」の評価はAプラスまたはAである。しかし、キルゴア・トラウト好きの私としては、そこまで評価を低くしなくてよいのではと考える。
面白いです ★★★★☆
文体に慣れるまで少々時間がかかりましたが、
勢いがあるストーリーに引き込まれます。
途中出てくるギルゴア・トラウトの挿話が傑作。
それ自体を読んでみたい。

特に英語のスラングがわかる人が読むと、非常に楽しめる作品です。
英語版も同じような構成なので、英語の勉強に良いと思います。
(ただし、下ネタも多いので、中学生にはどうかな・・・?
 思春期の息子に与えると、もしかして一生懸命勉強してくれるかもしれません)