しかし。ヴォネガットは周期的に何度でも読み返したくなる作家だ。彼のストーリーテリングのうまさは言うまでもないが、彼の伝えるメッセージに、ある意味「汎用的」なところがあって、そのメッセージに「同期」するようなシチュエーションにあるとき、何度でも手にとって読み返してしまうのだ。
本書は『青ひげ』同様、主人公の「自伝」のような形で話が進む。また、これも『青ひげ』同様に時間の流れが複雑に錯綜する。但し(これも『青ひげ』同様なのだが)錯綜する時間の流れが、ヴォネガットのメッセージを理解する妨げには一切ならない。
ヴォネガット自身も認めた好著。確かに魅力的な一冊だ。