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ジェイルバード (ハヤカワ文庫 SF (630))

価格: ¥798
カテゴリ: 文庫
ブランド: 早川書房
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人生は勘違いと思い込み ★★★★★
後期ヴォネガットの代表作のひとつといっていい。
ヴォネガットらしさに満ちて、構成もうまい。
ヴォネガットは、金や富をファンタジーとして扱う。
金持ちは、富を分配することで世の中をよくしたり、
人々を救うことができると真剣に考えている。
「ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを」も
同様のテーマが扱われていた。
双方で違うのは、エリオット・ローズウォーターは幸せだったが、
「ジェイルバード」のメアリー・キャスリーンは
そうとは言い切れなかった、といった差だけ。
彼らは資本主義社会のファンタジーであり、魔法使いなんだな。

「ジェイルバード」では、本人の意向や思惑を大きくそれて、
誤解の上に待ち受ける、思いがけない展開に流されてしまう
人々の物語とも取れる。
人生は、勘違いと思い込みで彩られているのかもしれない。
周期的に読み返したくなるヴォネガットの魅力とは? ★★★★☆
例えば音楽 CD。これを何度も何度も聴きなおすことに疑問を感じる人は少ない。ごく当たり前のこととして誰もが行っている。しかし本と CD は、多くの人の中で「異なる」もののようだ。「この本はもう20回読んだ」というと「よほど本が好きなんだね」という反応が戻ってくることが多い。確かに1度しか読まず、かつ読まなければよかったと思う本は多い。

しかし。ヴォネガットは周期的に何度でも読み返したくなる作家だ。彼のストーリーテリングのうまさは言うまでもないが、彼の伝えるメッセージに、ある意味「汎用的」なところがあって、そのメッセージに「同期」するようなシチュエーションにあるとき、何度でも手にとって読み返してしまうのだ。

本書は『青ひげ』同様、主人公の「自伝」のような形で話が進む。また、これも『青ひげ』同様に時間の流れが複雑に錯綜する。但し(これも『青ひげ』同様なのだが)錯綜する時間の流れが、ヴォネガットのメッセージを理解する妨げには一切ならない。

ヴォネガット自身も認めた好著。確かに魅力的な一冊だ。

やさしい前科者 ★★★★★
どんなにひどい時代だろうと、結局それに踊らされなくては生きていけない。「やさしさ」なんて焼け石に水。でも、どんなひどい時代にも「やさしさ」は存在する。それさえ忘れなければ、まあ何とかなるんじゃないか、という気がしてきます。主人公の「踊りっぷり」と「やさしさ」に、今だに感動しています。SF的要素は皆無ながら、ヴォネガットの傑作です。でもSF並みに奇想天外ですけど。