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33歳ガン漂流ラスト・イグジット (ポプラ文庫)

価格: ¥588
カテゴリ: 文庫
ブランド: ポプラ社
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”ロックな俺よ永遠なれ”ですよね ★★★☆☆
死に行く人間の最後の独白は病んでる価値観を持ち続ける都会の人間を逆に勇気付ける。俺を覚えていろよという言葉を自身の逆境や辛いことがあると心に浮かび上がりまるで死者が蘇った様に胸に木霊する。著者と同世代の人間が歳を重ね年下の後輩のような心境になるにつれ時間が断絶しても若くして亡くなるざるをえなかったロックな叫びは十年後にこの著者と本の中で出会えればまた別の世代に勇気を与えるのかもしれない。
息苦しく辛い心境を吐露しなかった思いは最後の地獄のような苦しんだ絵図の日記よりも日常の意識があったころの自分の風体を編集者として克明しておきたかったのだろう。”俺を覚えていろよ”と口にした人間のやるせない君の声は関係者にとって生涯忘れられないだろう。こういう終わりだっていい。
クールな侍の闘病記 ★★★★★
闘病記、しかも末期がんの患者のものとなれば湿っぽい感じは避けられないのですが、奥山さんの文章は若いフリーライターらしくどこか乾いていて本当に厳しい状況にも関わらず、思わず笑ってしまうユーモアに満ちています。文章も荒削りなところはあるものの、真実に基づいた事実が淡々とかつ客観的に綴られており、引き込まれます。がん医療に携わる者として患者さんの視点から見た現代の医療の問題を改めて考えさせられました。患者さんに接するときに参考になることも多々ありました。何よりも限られた時間の中で前向きに突っ走る著者の姿には心を打たれます。他のレビュアーの方も書かれていましたが、巻末のご両親の文章は感動しました。お母様が実母ではなかったという事実にも驚かされました。このようなご両親に支えられて彼も最後の2年余りを全力で疾走できたのだと思います。彼は逝ってしまいましたが、彼の残した文章は多くの人に読み継がれて行くと思います。闘病記というだけでなく、音楽、映画、バイクなど様々なジャンルを網羅したレポートとしても十分楽しむことができます。多くの人、特に癌医療に携わる医療従事者には是非読んでもらいたいと思います。彼の周囲の友人たちのさりげない友情と随所に出てくる奥山さんの「ありがとう」という感謝の言葉に癒される気がしました。奥山貴宏さん、ご両親様あなたに勇気づけられて頑張っている人はたくさんいます。本当にどうもありがとう。
サムライ奥山は永遠に不滅! ★★★★★
「あっぱれな死に様でした」といってはサムライ奥山氏に無礼でしょうか。
でも私はあえて、そう申し上げたい。

闘病記のラストはいずれも涙を誘うものだが、彼は最後の最後まで客観的に
自分を見続けていた。これは絶対に常人ではできないことだ。本書には類稀
な彼のライター、作家としての才能が如何なく発揮されていた。

でも、結局人間、最後は皆同じなんですよね。私も爪あとくらいは残したい
と思いました。あっぱれでした。彼の遺志を引き継ぐ人は必ずいます。
「オレを覚えていてほしい」という思いだけに貫かれた生き方が潔い。 ★★★★☆
ブログを本にまとめたもの。
「お涙頂戴の闘病記なんて吐き気」と切捨てガン患者で余命わずかとは思えないパワーを表現。
苦しみと戦いながら最後の最後まで文章を刻んでいる。
小説家になる夢が人生最後の達成が病気と引換、かつ人生最後というところが物悲しくもリアル。
「オレを覚えていてほしい」という思いだけに貫かれた生き方が潔い。
まさに「闘い」 ★★★★★
私が作者のことを知ったのはもう亡くなった後だった。
31歳ガン漂流から読み始め、この本まで立て続けに読んだ。
なぜか最近ガンの闘病記のようなドラマ、新聞記事、本が目に付くようになったが、
私が知ってる中でもっともガンと闘ったという表現がぴったりなのが
彼のような気がする。

淡々とした文章の中の一つ一つに彼の思いがこめられている。
いくらお涙頂戴のガン闘病記は嫌だと思っていても、
なぜこれほどまでに極力つらさや悲しみを取り除き客観的に自分を表現できるのか?プロだから?
それだけではない彼の強さを感じた。
最後のblog表記は切なくなることもあったが、
最後まで生きること、書くことに対して執着していることが
言葉の端々からわかる。

最後にご両親が書いた文章が載っているが、
このご両親がいて彼がいると思わされる文章だった。
安らげる家族がいつでも見守ってると思えばこそ
彼は闘ってこられたのだと感じた。

最近精神的に弱ってる私ですが
彼に恥じない生き方をしたいと思わされる本でした。
彼が私に伝えてくれたのは「強さ」でした。