リンカンが異国の地、南アフリカに飛んで、見えない敵から狙われることになるという筋書きだが、そこに様々な人が絡んでくる。新聞記者のロドリックが仕掛けたスキャンダル作りの罠は、いかにも芸能界の世界という雰囲気が読み取れるし、映画監督のエヴァンとの確執と友情はなかなか読みごたえがある。金鉱主ヴァン・ヒューレンは魅力的な紳士として登場するが、少し影が薄いか。
事件は、プロローグの撮影シーンを、エンディングで主人公にリプレイさせる展開となる、ハラハラドキドキの内容。最後は事件が一件落着して読み応え十分。