村上春樹の作品群における「胎児」
★★★★★
さわやかで繊細で、とてもはかない。
そんな叙情に満ちた作品。
このテイストはこの作者の核となって、その後に生み出された作品に長いこと影を落とし続けたと思う。
村上春樹の作品群にあっては、「胎児」のような存在感を持つ作品だと思います。
カリフォルニア・ガールな本
★★★★★
本の中に出てくるビーチボーイズの「カリフォルニア・ガール」
この曲のイメージと内容がよくあっている。
今の村上春樹の作品に比べて、筋肉質な文体であり読むのに時間がかかった。
読み終わると満足感がかなりあった。
物語が見えてこない
★☆☆☆☆
私には意味不明でした。
何の秩序もなく文章を並べているだけではないのか。
所々目をひかれるフレーズがあるものの、物語とまったくつながってこない。
つながりが見えてこない。物語が見えてこない。
すらすら読めたが、なにもわからなかった。
盛り上がりがなく退屈な小説
★☆☆☆☆
村上春樹が話題になっているので、海辺のカフカの後に読みました。はっきり言ってまったく面白くありません。海辺のカフカは最後、謎がほとんど解決されず、モヤモヤが残りますが、物語のテンポは素晴らしく一気に読んでしまいました。しかし、この作品はバーでの会話をダラダラ書いたまったく面白くない小説でした。本当に時間の無駄でした。
啓発的で軽快な青春小説
★★★☆☆
ある大学生のひと夏を、リリカルかつ感情超越的な筆致で描いた中編小説。
この小説を最初に読んだときはいまいち理解できなかったが、その後改めて読み返してみると、なかなか興味深い内容だった。
筋書き自体にそれほどのインパクトはないが、一般に否定的に捉えられがちな自己への愛情を、ある点で肯定的かつ美学的に表現しているところに新鮮味が感じられる。
根源的な自己愛を見極め、その上で自己欺瞞を断ち切るということを一つのテーマとして受け取ることも可能と思う(単なる甘えでしかないと切り捨てることも可能だが)。
また、登場人物がみな腹話術の人形のような感じで、根っこのところでは作者の人格を反映したり、哲学を代弁しているように思われる。
後年の作品と比較すると文体の客観性が若干希薄な気はするが(ワープロではなく手書きという条件もあろうか)、瑞々しい感性を言葉に繋ぎ止めるセンスには卓越したものがある。
万人に受け入れられる作品とは思わないが、作者が満を持してこの小説を書き上げ、発表したことは、世界の読書家にとってささやかな収穫であった。