インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

羊をめぐる冒険(下) (講談社文庫)

価格: ¥500
カテゴリ: 文庫
ブランド: 講談社
Amazon.co.jpで確認
青春の終わり ★★★★★
読み終わった後、切ないけれど、どこか不思議なすがすがしさを感じる作品だった。
青春時代を一緒におくった「鼠」との別れによって、「僕」の青春も終わったのだのだと感じさせられた。
最後まで自分の弱さを捨てきれず、自分の弱さが好きだといって消えていった「鼠」の言葉に胸が熱くなった。
個人的に、村上春樹の作品の中でもっとも思い入れが強く、一番好きな作品だ。
過ぎ去っていくもの ★★★★★
●1回目
美しい耳の彼女と共に、星形の斑紋を背中に持つ羊と友人である鼠の行方を追う主人公。そこには思いもよらぬ結末が待ち受ける…。


「風の歌を聴け」「1973年のピンボール」「羊をめぐる冒険」といった三部作の中でも読み応えのある内容となっています。


無から生じたものが無に立ち戻る時、そこには何があるのでしょうか。

昼の光しか知らないものは夜の闇を理解することは出来ないのでしょう。


「でも暇つぶしの友だちが本当の友だちって誰かが言ってたな」
-----------------------
●2回目
「一般論は止そう。さっきも行ったようにさ。もちろん人間はみんな弱さを持っている。しかし本当の弱さというものは本当の強さと同じくらい稀なものなんだ。たえまなく暗闇にひきずりこまれていく弱さというものを君は知らないんだ。そしてそういうものが実際に世の中に存在するのさ。何もかもを一般論でかたづけることはできない」
村上ワールドの始まり ★★★★☆
この作品から本当の意味での村上ワールドが始まった、と考えている。
青春3部作の完結編。
といってもこの後に「ダンス・ダンス・ダンス」が発表されて、結果として4部作になる物語の3作目。
始まりは前2作同様の雰囲気で淡々と静かにすすむ。
妻が他の男のところにシケこむことになって、離婚しても主人公の「僕」は動揺しない。
それが自分の知っている男だったとしても。
そして今度は双子ではなく(前作1974年のピンボールでは双子だった)、高級コールガールのバイトをしている耳モデルの女の子がガールフレンド。
いつものように静かに物語は流れていくのかと思いきや、ある日突然大物右翼の代理人と名乗る者が登場するところから話は転がりだす。
問題は、PRの仕事であるパンフレットに使用した羊の写真だった。
その写真は友人の鼠が旅先から送り、「人目につくように」してくれと頼まれた写真だった。
大物右翼の代理人は、「僕」にその羊の調査を命ずる。
従わなければ、生活をメチャメチャにすることくらい簡単だという脅しをつけて。
札束を渡され、猫の「いわし」を運転手に預けて、耳モデルのガールフレンドと一緒に札幌に飛び立つ。
ガールフレンドが選んだホテルはその名も「ドルフィン・ホテル」。
この「いるかホテル」からこの物語は加速度的に展開していく。
耳モデルのガールフレンド。
羊博士。
羊男。

独特の文体と雰囲気を残しつつ、まさしく「冒険」は続く。
読み終わった後もしばらく不思議な余韻が残る名作。
村上春樹の本領はこの作品から発揮される。
鼠という存在の大きさ ★★★★★
物語自体は、美しい耳のガールフレンド、羊という思念、羊男の存在など不思議な部分が多々ある。
この辺は突き詰めて考えるも良し、そんなもんかと軽い感覚で読み進めてもいいと思う。

読み終えてビックリしたのは、鼠という存在が私(読み手)の想像以上に大きくなっていたことだ。
風の歌、1973年のピンボールを読んでも、本書の終盤に至っても、鼠はそれほど大きな存在だと感じていなかったのだが。
それがラスト5行に到達したとき、形になった。
あるはずの所にあるべきものがないのは、とても辛い。
激しい喪失感を覚え目頭が熱くなった。

前二作と合わせて読み返していきたい作品である。
踊る前 ★★★★★
鼠との本当の別れ。
そこから生まれてくる虚無感。
でも決して暗くないのはその文体のせいだろう。
乾いているのに,突き放さないその言葉たちが救いだった。
あり得ない出来事が目の前のことにように語られる。
それこそ,村上ワールドの一つの頂点だったのだ。