作者の「冬の花火」・中条ふみ子のように、与謝野晶子単独で主人公になると思われがちだが、この本全体を読んでそれが無理なことに気づく・・・「君も雛罌粟われも雛罌粟」と言うように2人を主人公にしなければ晶子の人生そのものが成り立たないのである。それほど深く2人は複雑にからみあっている。少女のように鉄幹を愛し続けた晶子、晶子に愛され続けた鉄幹・・・・
晶子と鉄幹のそれぞれの時代の短歌・資料が見事なタイミングで挿入されていること、的確な短歌への評など、全てを通してさすがである。