善の勢力と闇の勢力のメンバーがそれぞれにコミュニティを形成して「政治」を復活させる。そして互いに相手のコミュニティを意識するようになる。それが第3巻です。
全体的な印象としては1・2巻の間に流れていた「スーパー・フルー」のもたらす緊張感がほとんどなくなりました(病気そのものは終焉か?)。これまで旅を別々に続けてきた人々が一地点に留まるようになったせいか、「あぁ、今この人がここでこんなことしているけれど、あの人たちはどうしてるの?」といったお母さん的心配をする必要がなくなったことが嬉しくもあり、ちょっと残念なような気もします。そんなわけで今回は星を4つにしました。
おもしろくなくなったというわけではありませんよ。旅のメンバーの間に生じた微妙な関係、それに伴って変わっていく登場人物の内なる心の変化を知ることができ、次の巻はきっと波乱に満ちたものとなるに違いないと予感させます。
おそらく4巻以降への大切な布石となる巻でしょう。旅人たちと共に束の間の休息を得てください。
テーマは善と悪の対決、そして人の心に巣食う様々な感情とその功罪、
カリスマ的なリーダーシップ対合議的な組織、といった
新たなステージに移っていきます。
登場人物のキャラクターもより鮮明になり、彼らの能力や秘密も
少しずつ明らかになりますが、それらが今後の対決にどう影響するのか、
それは「4」以降にならなければ分かりません。
キング的に言えば「激しい雷雨が訪れる前の電気的な空気」に満ちている、
それが「ザ・スタンド3」です。