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風雲児たち (8) (SPコミックス)

価格: ¥680
カテゴリ: コミック
ブランド: リイド社
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町人の精神構造はどんなものなのか? ★★★★★
田沼意知の無念の死が描かれる。

江戸の町人は田沼意知を殺傷した狂気の人物を

「佐野大明神」とあがめ、田沼意知の葬儀の列に

石つぶての雨を降らす。

「“市民革命”になったっていいようなもんに、市民(町人)は

参加しようともしないし、市民(町人)に参加を呼びかけるような

思想の必要を感じさえもしないで、脱藩という逆行に走った

人間(下級武士)だけによって成立した“日本の近代”って、

一体なんなんだろう?・・・・・

一体どうして、町人はそういうことから『関係ない』で

いられたんだろう?」

以上は橋本治『江戸にフランス革命を!(下)』
江戸にフランス革命を!〈下〉江戸のその後 (中公文庫)

からの引用です。

市民革命を経ずに現代までやってきた私たちは、

今でも見当違いの方向に石つぶてを投げているかもしれないなんてことを

考えさせられました。
志半ばにして、桜散る ★★★★★

印旛沼干拓に伴う工事で作られる運河を、江戸に各地の産物を
運ぶルートとするだけでなく、いつの日か、海外との貿易港を江戸
に設けるための足がかりにしようという構想を抱いていた田沼意次。

志を共にする息子・意知の成長ぶりに目を細めていた
矢先、その意知が殿中で、凶刃に斃されてしまう。


しかし、意次は、悲しみを押し殺し、息子の遺言である蝦夷地調査に乗り出す。


蝦夷地に派遣された十名の調査団のうち、七名が凍死するなか、
無名の人夫だった最上徳内は、天明六(1786)年、エトロフ島の
北辺で、ロシア人と邂逅する。

くしくも、ロシアの南下に警鐘を鳴らす林子平が、
「海国兵談」を脱稿したのと同時期だった――。




凄まじく悲しい北海道史 ★★★★★
田沼意知が江戸城内で切りつけられる事件に始まり、
前野良沢と並ぶオランダ語の巨頭中川淳庵は病の床に臥す。
さらには意知の父、田沼意次に迫る汚い陰謀など、
ギャグの冴える明るい話題は少ない。

田沼意次の刃傷事件は、
田沼親子を金権悪徳政治家としか見られない無知な庶民からは喝采を浴びるが、
実際はその庶民を苦しめる時代のきっかけになってしまうとは。

しかしこの巻のハイライトは別にある。
上記の暗い話題よりも、もっとずっと読者を悲しくさせる話が展開されるのだ。
一旦時代を戻して、蝦夷地(北海道)の歴史が語られるのだが、
「教科書が教えない歴史の真実」は、ギャング漫画の粋を通り越して凄まじい限りだ。

「北海道の歴史」とは、我々の祖先の日本人による、
先住民族アイヌへの虐殺と略奪と搾取と卑怯な騙まし討ちの歴史に他ならない。
現在残ったアイヌの子孫は少なく、さらに日本人に同化してしまっているので、
中国や韓国のように過去にクレームを言う人はほとんどいない。
だが、「クレームを言う人がいない」からと言って
歴史から消し去ることはできないはずだ。

この「北海道の歴史の真実」を伝えただけでも、この本の価値は貴重だ。
完全にギャグ漫画の範囲を超えている。
注目すべき人々 ★★★★☆
この漫画に出てくる人たちは根性の入り方が違う。解体新書はオランダ語の全くの門外漢達が辞書も無いなか暗号のように解読してたった四年で出版にこぎつけているし、林子平は「海国兵談」の出版を断わられると自分で版木を彫り始める。僕もこの人たちの情熱を少しは見習わねばならないと思った。
鎖国下の悲しみ ★★★★★
 田沼意知の死に始まる本巻は全体的に暗い。天命の大飢饉による東北の惨状、蝦夷におけるアイヌと松前藩の残酷な歴史、田沼意次に派遣された蝦夷調査団のうち宗谷へ向かった越冬隊の凍死。「解体新書」の功労者中川淳庵の命の灯火もあとわずか。白河藩の建て直しに成功した松平定信が再び江戸へ舞い戻り、田沼との最終決戦を挑まんとする。

 林子平はついに「三国通覧図説」「海国兵談」を完成させ、蝦夷調査団の人夫であった最上徳内は単身北方領土のエトロフに向かい赤蝦夷(ロシア人)と対面する。ほぼ同じ時期に、風雲児二人は同じ結論に達していた。鎖国をしても海で隔てられても外国とはつながっていることに。「なじょして鎖国なんかするべか〜」(大槻玄沢)。この先何度も繰り返されていく風雲児たちの叫びである。