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いのちとすまいの倫理学

価格: ¥1,995
カテゴリ: 単行本
ブランド: 晃洋書房
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近年稀な「倫理学」の良書 ★★★★★
生命・医療倫理の領域に関心が及んで踏み込んだとき、入門書の類をそれなりに読んだのだが、失望は大きかった。「いったい、これが『倫理学』なのか?」と。これをして「倫理学」というのなら、現代の「倫理学」は「二流の社会学」でしかありえない証明だと思った。そうした「応用倫理学」なるものの溢れる昨今、この本は、本当に倫理学にしかできない営為を紡いでいる。生命および環境の倫理学を「いのちとすまい」の倫理学だと著者が言うとき、倫理学は古代から現代まで、そして学としての倫理から生活の倫理までを、温かく静かに、そして深く広い射程を持って見つめる思索なのだということが、すんなりと心に入ってくる。この本を読んだ結果、私は倫理学の可能性に改めて希望を持つことができた。とりわけ生命倫理の領域に関わるところで著者が立てる議論は、アメリカ製生命倫理学一辺倒への冷静な批判となっており、参考になる点が多かった。一見して地味だが、本質を捉えた稀なる良書である。本書に続く『くらしとつながりの倫理学』と併せてぜひ押さえておきたい入門書である。
応用倫理学への入り口 ★★★★☆
倫理学というと善やら正義ゆらと小難しいことをこねくりまわしているイメージがあるが、本書では医療の正しさについて考える生命倫理学、環境保護の正しさについて考える環境倫理学という身近なテーマに絞り、専門的な論議は参考書にまかせてさまざまな視点からこの二つを見つめている。内容としては大学の講義用に書かれたもので新しい見解は少ないが、多様な議論を盛り込んで考えさせるようになっており、筆者独自の「何が正しいか知ることではなく、何が正しいか悩むことが倫理学だ」というスタンスが伝わってくる。