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ディアスポラ (ハヤカワ文庫 SF)

価格: ¥987
カテゴリ: 文庫
ブランド: 早川書房
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「私とは何か」に対するひとつの答え ★★★★★
訳者に敬礼! これだけの作品をこんなに読みやすく日本語に移植してくださって本当にありがとうございます。イーガンの『祈りの海』でも思いましたが適任だったと思います。
数字に、というか数学に最高の美を見出している著者渾身の大傑作です。筋を追うごとにどきどきはらはら、いったん読み始めたら読了まではひと呼吸。ものすごい勢いで読み終えてしまいました。
スワヒリ語で「孤児」を意味するヤチマを中心に魅力的な人物たちが数千年の単位でいれかわりたちかわり意識をめぐる冒険をします。
イノシロウのあまりにも意外な選択や、ブランカのかっこよすぎる決めセリフなど魅力満載。
イーガンがおそらくは生涯のテーマとしている「意識とは」「私を意識する私とは何者なのか」のひとつの答えがここにあります。

読むことで、自分を制限する何もかもを振り切って、限りなく自由にさせてくれる爽快感を、イーガンは与えてくれます。
孤独も孤立も、苦悩も苦痛も、「それでも」先に進もうという「意志」までは奪うことができなかった。機械の中の幽霊ならぬ、機械の中の人生を、私はとても愛します。
詩情あふれる素晴らしい傑作だと思います。イーガン、大好き!
異質な感動 ★★★★★
 同じ作者で以前読んだ「順列都市」が途轍もない構成の素晴らしい本だったので、期待して読みました。

 本当に面白い小説には、必ず感動があると自分は思っています。けれど、普通その感動は、小説が感情を扱った故での感動です。
 しかし順列都市での感動は、異質なものでした。
 そして期待を裏切らず、ディアスポラも知的興奮、新たな世界を見せてくれる、鳥肌の立つ様な感動を与えてくれました。

 もっとも、物語の半ば以上を過ぎなければ、この先どんな展開になるか全く想像がつかない点も、前作同様でしたが。
 ついでに理論に関する細かい内容が難し過ぎで私には理解できませんが、その辺はフィクションですし、また、構成が巧みなため、理解していなくとも物語は楽しめるようになっています。
 ただ、人間がソフトウェア化されている世界観故、身体感覚に基づく感情や感覚を扱っていないので、そういう物語でなければ楽しめない方には向きません。

 本の面白さには、色んな種類があります。少しとっつき難いですが、たまにはこんな本を読むと、新たな面白さの地平が開けること、うけあいです。
眩暈をよぶハードSF ★★★★★
スケール、内容ともにハードSFの最高の帰結点。
ここまでいきついてなお人類としてのアイデンティティが保たれているのが不思議なほど。
アイデアそのものは現代科学の延長線上にあり、実際の未来をリアルに想像できるのも良い。
多元宇宙の果てへと向かうスケール感の大きさ。
量子スピンに隠されたメッセージという、理解より直感をくすぐるアイデア。クラクラと読者を快く幻惑させてくれる、まさにSF小説。
ヒトと宇宙の行く末 ★★★★☆
現代ハードSFの極北と評価される長編。
SF好きならば,好む好まざるにかかわらず,読んで損はしないでしょう。賞賛するにせよ,批判の材料とするにせよ。

物理学の素養のない私にはほとんど記号のような議論がちりばめられていますが(専門の方がどう読むのかむしろ興味深い…),イーガンの小説に一貫して流れる,自己同一性の問題は本作でも太い幹となっています。端的には,「自分のすべてがソフトウェア化されたとして,それはなお自分か?」,さらに「ソフトウェア化された自分がコピーされたとして,自分とコピーの関係は?」といったことです。SF的な道具立てはともかく,このような自己同一性の問題に対するひとつの解答は,文系的思考の人間にも十分に楽しめるものです。

さらに,本作で描かれる,人類の行く末→宇宙の行く末は,私のような素養のない者にとっても,圧倒的なものでした。ヒトの想像力の限りなさを示した一作といえるでしょう。
なお,難しい議論については,巻末に用語集もついています。
脳みそをふりしぼって ★★★★☆
 ソフト化された人類が深宇宙に旅立ち銀河の謎を探求する様が、強固な物理的理論武装で肉付けされ描かれる。確かに難解であるが、筋立てはストレートな冒険SFなので、混乱する事は無い。
 解説では小松左京の「果てしなき流れの果てに」が引き合いに出されていたが、僕は手塚治虫の火の鳥を想起した。宇宙が入れ子状に重層的に重なっている、てなところとか。やはり偉大だ、手塚先生は。
 ともあれ、久々に脳みそを振り絞って活字を追った。今度は軽めの本にしてみるか。