この本では、先生が若い頃、沙漠で経験された深層心理の静けさといいますか、全ての邪気から解放された、「善」の心とでも呼ぶべき、「心を真っ白にして初めて到達し得る平和」への道が記されています。
みずみずしい感性と、限りない優しさが、それとなく読者を包むような文章で、淡々と、日本人青年による冒険が綴られています。望月先生が沙漠をめざして旅立たれるきっかけとなった背景は、詳しく説明されていませんが、ベストセラー作家五木寛之さんの著書に鼓舞された旨のみが書かれています。その五木さんが、本書カバーの推薦文を書かれていますので、これだけでも「素人青年による単なる作文ではない」と判ります。ここではその引用を差し控えさせて頂く事をご了承ください。
巻末に、「沙漠の瞑想法」も掲載されており、疲れ果ててしまったとき、心配事で心が騒ぐとき、悲しい出来事に直面したとき、不愉快な事件に遭遇して怒りが静まらないとき、先生のお手本に従って、私のような落ち着きのない者でも、瞑想の真似事に挑戦できるようになっています。
人生、いろいろあります。完璧な人間は一人も居ません。誰でも欠点があり、長所があり、試行錯誤で精神的に成長してゆくしかありません。不可抗力で絶望の淵に追い込まれることもあります。そんなとき、この本に出会える方は幸いと思います。
疲れておられる方、痛みや悩みに苦しまれておられる方、迷っておられる方、あらゆる方にお薦めいたします。