とっても優秀な学部学生が最高実力で書いた卒論
★★☆☆☆
本書題名や目次の並びからしてとても魅力的だが,中身はダラダラ。とっても優秀な学部学生が最高実力で書いた卒論という感じ。皮肉ではない。「とっても優秀」「最高実力」はこの言葉通りの評価で,データをよく頑張って収集した努力は高く評価されていいが,やっぱ腕前は「学部学生」。というのは,分析に成熟さが欠けているから。生データはありがたいが,もう少しデータ処理の腕前を発揮して欲しかった。欲張りすぎなんでしょうけど,本音でもあります。天下の“大修館書店”の“英語教育21世紀叢書”シリーズなんだから,これは読者としては偽らざる本音です。
「意外に少ない中学生英語の記録」(4頁)と銘打っていかにデータが不足しているかを訴えているが,では定期テストや学力測定試験はなぜこの「記録」の中に含まれないのか? これについてノーコメントであるのは,やっぱり学部生だよ。定期テストは,先生=作成者がいかに異なろうとも,教科書が同一ならとうぜん似通ってくるはずだ。しかも,多少の違いに目をつぶれば,通時的なデータも追えたはず。これが用いられなかったのは,公立学校相互間にわだかまっている相互不信なんだろうか? (998字)