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知と愛 (新潮文庫)

価格: ¥704
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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まっすぐな2人と人生の盛衰 ★★★★☆
「知と愛」=「ナルチスとゴルトムント」とありますが、
主に描かれるのは「ゴルトムント」であり、
「ナルチス」は最初と最後に登場し、
「ゴルトムント」の脳裏にも度々登場します。

「ゴルトムント」は、あまりに潔癖かつ我が強い。
言い換えるなら、自分の思いに純粋でありすぎる。
そのために修道院を飛び出し、放浪の旅へ。
ゴルトムントは生まれながらの性質によって、
表向きは大体人々に受け入れられますが、
彼の中では厳粛な潔癖さ故に、折り合いがつかない。

旅の途中で、
沢山の女との交わりも行きずりの思い出と化し、
親方の下、彫り上げた彫刻は「ナルチス」であり、
誰もいない教会で懺悔をする彼の胸には
ある思いが強さを増します。
「再びナルチスと会わねばならない」

ゴルトムント自身の頑なすぎる信条と我の強さゆえに、
苦しみあがき、満たされない心に、いつもある存在、
それが「ナルチス」であり、具体的に登場しないのに、
「ナルチス」の存在感が物語り全体を覆っています。

苦難の中「ナルチス」との再会を
叶えた「ゴルトムント」は・・・。

読後感は「まっすぐな2人と人生の盛衰」の味わい。

この本の翻訳は読み辛いと思います。何度となく読みながら眠ったことか・・・。
「〜だった」「〜した」など語尾が過去形で統一されて読み辛い文章です。
ヘッセの「原文の文体」がこうであったなら、正確に再現されているでしょう。
(ただし、「原文の文体」を再現していても読み辛いことには変わりありません)

あと、言葉遣いにおいても私は疑問を感じる。
『言い回し』もっとテンポの良い表現に置き換えられないか?
『漢字・ひらがな』うまく使い分ければ、読み易くなるのでは?
『指示代名詞』同じ代名詞の繰り返しは逆に分かり辛いのでは?

戸田奈津子氏曰く「通訳にとって大事なのは、日本語に精通していること」である。
日本語が疎かでは、元の文章を理解できても翻訳過程で「悪文に変換」しかねない。

ヘッセの作品でお手頃にあるものは、大体が「高橋健二」翻訳
新訳でもっと読み易いものが出版されることを願う。
流れるように読める本 ★★★★☆
主人公の少年に感情移入することがなくてもその生涯を
流れるように読むことができる本です。
放浪の民の暮しやペストの光景など、ヨーロッパ中世ならではの
日常がバックに描かれているのがまた興味深いです。
理性と感性の相克を描く、ヘッセの名作です ★★★★★
 「ナルチスとゴルトムント」という原題を持つこの作品の中で、神学者であり知を象徴するナルチスという修道士と、愛を求めて遍歴する、放蕩息子のような修道士ゴルトムントの2人を対比しつつ、《デジタルとアナログ》《父性と母性》《理性と感性》《割り切れることと割り切れないこと》など、2つの対立する世界をヘッセは描いている。それはまるで東洋の陰陽説を説くかのようである。
 「学問とは差異を発見すること」とデジタル人間、ナルチスは語る。そして世の中を理路整然と割り切っていくその果てには「真空の空間での窒息」が待っていると気づいている。一方、放浪者ゴルトムントも「およそ生存は二元と対立に基づいているように思われた。人は、女であるか男、放浪者であるか平凡な市民、分別臭いか感情的、そのいずれかであった」と二極の間で揺れ動き、悩む。

●知:愛=7:3、あるいは知:愛=3:7のどちらかの割合で生きるのがいいような気がします。地球の海と陸のバランスも、7:3ですから…。

2002-09-14記す
もう一つの《バイブル》 ★★★★★
一人の放浪者の遍歴の中に、《真実の神》を描きだした、もう一つの《バイブル》とも言える傑作です。《聖と俗の融合の中に、真実の神は生まれる》というテーマは、傑作《デミアン》において、すでに描かれていたが、本書はそれをもう一つ、推し進めた感じがあります。全体的な完成度の高さといい、文学的な美しさといい、哲学的な深さといい、あらゆる意味で素晴らしい、傑作だと思います。
精神への道 ★★★★☆
知が中心の人・ナルチスと、情が中心の人・ゴルトムントの物語は、私の日頃抱いていた考えのうちの一つとテーマが重なる。
真理を生きるには、真知と情が欠かせないと思う。そして、情が真知以上に無ければ、本当の悟りには至らないのではないかと感じている。
読み終えてすぐは、ナルチスよりゴルトムントのほうがより真理に近づいたのだなと、情の部分で真理を深く感じ取ることが出来たのだなと感じた。
しかし更に考えを進めた今、ゴルトムントの愛が絶対界に立っていたかどうかも、ナルチスの愛がゴルトムントのそれより質的に劣っていたのかどうかも、今の私にははっきりと結論付けることが出来なくなっている。私は物事を考えるのに時間がかかるので、数ヶ月、数年、或いはもっと時間が必要かもしれない。けれど、必ず答えを出したいテーマである。
『シッダールタ』ほどの感動は無かったけれど、日頃考えていたことを、更に深く考えさせてるきっかけを与えてくれた。
最後に。田舎暮らしで本屋が無く(手にとってから買えない)、『中年』に近い年齢までほとんど本を読んでこなかった無知な私には、レビューが大変参考になります。ありがとうございます。