音楽の方はといえば、スライの影響をかなり受けている印象が強い。全般的に泥臭いファンクとソウル寄りで、初期三枚のサイケデリックブルースロックを期待する人は肩透かしをくらうだろう。
⑤は今でもステージでは欠かさず演奏される名曲で、子どもを育てる為に売春する母の悲しみを歌っている。③はヴェトナム戦争帰還兵が社会に馴染めず苦しむ話。
こう書いているとシリアスなアルバムと思えてくるが、そこはさすがPです。⑥のような(ムラムラしすぎて我を忘れてナンパをして事をいたしちゃった後、気が付いてみれば相手が女装した男だった、というお話)アホ丸出しの歌もしっかり収録してくれていて、実にこういう人達を目指したいものである。なのに、④、⑦など涙ものの美しいバラードも入っていたりして、「君達はいったい何だ!?」と問い詰めてみたくもなる。
とっかかりにくいかもしれない、が、噛めば噛むほど味が出るスルメみたいなアルバムである。