私は求める――人を、自然を、記憶を、未来を
★★★★★
求めながら生きる人々の、物語でした。
幽霊が見えてる人も、不倫している人も、離婚後に友達の家で居候している人も、
春先に暴飲暴食した人も、"させ子"の人も、半分死んでいる人も・・・・・・
喉が渇いたら水を求めます。
それと同じくらい当たり前に、不安や不満に押しつぶされそうになったら、
誰かを求める、海や夕焼けの美しさを求める、これまでの自分を求める、これからの自分を求める。
"生きているの辛いから、自殺をして、終わらせることを求める"
っていう人物もアムリタには登場していましたね。
生きることや求めることに臆病になった人、自分の日常に退屈し始めた人、是非読んでください。
じんわり
★★★★★
私にとって、下巻は上巻より印象に残るシーンが多かったです。
確かに話があちこち飛び出してたりして読みにくいなと思う人はいると思いますが。
主人公、弟、明日にも遠くに旅立つ友人と、その元恋人であり新しい友人との、最後の晩餐でハイになってしまう気分。その帰りの車で眠ってていいよと言われた弟が発する「もったいないからいい」という台詞。
その夜、旅立つ友達が主人公の夢の中に別れを告げに来て「ありがとう。どこにいても君達の事が大好きだ。」という台詞。
すべて心に染みてきます。
私が生きてきたなかで、言葉にできなかったもの、言葉にすると失われてしまう気がするものが、この物語に詰まっています。
ばななワールド
★★★★☆
何かが欠損してるからこそ(例えば家族だったり記憶だったり)
人生はより深みを増すようなもちろん苦しみも生まれるけれど、
それが人生であると教えられた気がした。
下は不思議な力や、オカルトティックな物が登場したが、
それがとてもリアルに感じれたのは、作者の力量か。
とにかく終わりに近づくにつればななワールドにどっぷりはまり、
最後には魂が開放されたような気分になりました。
最初はとっつきにくいけれど、気がつけばどっぷりハマってしまう、
そんなばななさんの作品には、毎回心が浄化されるような気がします
不思議な気持ちになる
★★★★★
上巻よりもさらに不思議さが増し、話の密度が濃くなった感じです。
読み終わった後、ただただボーッとしてしまいます。
私の印象に残っているエピソードは、
頭を打ち記憶を無くした主人公の朔美が
あることをきっかけとして
一気に記憶を取り戻していくところ。描写が素晴らしかった。
人生は、とどまることなく流れていくものなんだなぁと、ただただ強く思った。
深すぎて、はっきりと伝えたいことは分からなかったけど、それこそが吉本ばななだなぁと思った。
この本は、頭で考えるよりも、心で感じながら読むものだと思う。
なんかどんどん
★★★☆☆
おかるてぃっくな方向へ突き進んでいった小説。ふわふわしてて何となくとらえどころがないし、著者も自分で把握できてないんじゃないのかな、とすら思えた。いや、もちろん面白いことは面白いんだけど。たとえば、キッチンなどの傑作と比べると?って感じで。こんなに無理やりオカルトな方向に持っていく必要があったのかなぁ、と。
エピローグはよかったです。最後に某キャラが浮気した、ってのが上手いなぁって気がした。それによって、双方の魅力が引き立つ。やっぱり技術は一流なんだなぁと。