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江分利満氏の優雅な生活 (新潮文庫)

価格: ¥1
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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肩透かしを食らう本 ★★★★☆
直木賞受賞作。といっても肩の凝る本ではない。「肩透かしを食らう本」
と紹介した方が著者も喜ぶと思う。

小説というカテゴリというよりはフィクションを交えたエッセイに近い。
第三者の目線で進んでいたかと思うと、突然、主人公の目線となったり
著者の目線になったりする。学校の論文や作文なら、きっと先生に真っ
赤にされるに違いない。

ウィキペディアによると、直木賞の選考の基準は「受賞後作家として一
本立ちするだけの筆力があるかどうか」であるらしい。であるならば、
なぜ、この本は直木賞を受賞できたのか。

私は正直、その後長く続いた週刊新潮の「男性自身」のエッセイの方が
好きだ。そのエッセイは、「江分利満氏」という架空の人物ではなく、
本人そのものが主人公だからである。余計な雑味がないからである。

「江分利満氏」はまだ著者自身の躊躇がある。恥ずかしさがある。青い。
しかし嫌味ではない。熟成していないだけである。それに触れるのも、
本読みとして(酒飲みとして)、悪くない。
昭和の香りに満ちた生活 ★★★★☆
 山口瞳といえば、伝説のサントリー宣伝部のキラ星のひとりである。
一企業の宣伝部に芥川賞作家(開高健)や直木賞作家(山口瞳)が
在籍していたというのも珍しいが、本書がその直木賞受賞作。

 昭和30年代を舞台に、山口の分身である江分利満なる人物の
日常と家族(とくに父)への思いが語られる。

平成という未来から本書を見ると、懐かしくもうらやましくもある。
高度成長が始まったその中にいて、色々悩みはかかえているが、
未来への希望がたしかにそこにある。

それに比べて今という世の中は、などというのは野暮な言い草であろうか。

ともかく本書が復刊されたことをうれしく思う。
粋だね ★★★★☆
山口瞳著。直木賞受賞。

あの有名なサントリーのトリスのキャッチフレーズ「トリスを飲んでハワイに行こう」を書いた素晴らしいお方。

挿し絵が入ってるんだけどトリスのイラスト柳原良平さんが書いてて粋な感じだ。

内容としては戦中・戦後に苦い青春時代を送った
江分利満(←エブリマン…完璧当て字よねw)
というサラリーマンが主人公。

戦争や、家族、仕事にも全部批判的で、
「でもしかたなかったよな、あの時は…」と納得したいができない、
じゃーそれではと、と酒に走るが、それも中途半端。
読んでて切なくなる部分もある。

私たちの父親はこんな時代を生きてきたのかと思うと頭はあがらない。

戦争時の好景気を忘れなれないエブリマン父は
通院先の看護婦と付き合って、やくざになぐられ、
でも必死にまだまだ「これから、これから」っておもってる。
そんな父を冷静にみる、エブリマン氏。

戦争とは時代を変える。
景気がよくなる、悪くなる。
振り回されてやっと落ち着いてまわりをみると、それでもなんとかなっている。

私の父は戦争終結と共に生まれた。エブリマン氏のちょい後輩である。

なかなかエブリマン氏と通じることあるよ。

父親が理解できなくなったとき、読むとなんとなく父をもっと立ててあげようと思う一冊だとおもいます。
庶民生活への優雅なまなざし ★★★★★
昭和30年代のサラリーマンの生活という題材上、辛気臭く貧乏たらしい
内容かと思ってしまうが中身は全然違う。普通の核家族サラリーマンの
私生活を悲哀とユーモアたっぷりに、実に上品に軽やかなタッチで
まとめており、当時のサラリーマンにあったであろう気取らない
やんわりした粋さのような雰囲気がよく出ている。ライトノベル
的な軽さがよい意味で前面に出た傑作。
わざわざ華麗で豪快なネタを探さなくとも優雅な文章が書けたのだから、
会社の同僚の開高健みたいな題材で文章を書いてみたら一体どうなった
のだろうという想像がふくらんでしまいました。
見たままの風景を的確に捉えている ★★★☆☆
数年前にとある雑誌の特集で有名人の愛読書ってコーナーがあり、それを参考に買った本。
(誰が好きだった本かは忘れたけど...。)
なかなか読む機会が無くて、いままでお蔵入りしていた。
読み始めると、テンポのいい文章につられ一気に読みきった。
自分が生まれるよりも前の話で、なおかつその時の時代背景に即した文章なので、今を基準に考えると微妙な部分もあるが、高度成長に伴い速度を上げていく昭和の時代感が伝わってくる内容である。
こういう見たままの風景を的確に捉えて文章にできる才能を持ちたいものである。