アイヌの世界観への入り口
★★★★☆
筆者はアイヌ初の参議院議員ですが、ここではアイヌをとりまく外界の問題はさておいて、筆者の子供時代からの村での生活体験が描かれています。ごく日常的な光景が語られているのですが、その一つ一つにアイヌの人達の考え方が浮かび上がり、私達とはまったく違う世界が広がっていくようです。狩の獲物のくまは神が姿を変えて人間のために現れてくれたものであるとか、作った道具にも魂があり、使い古したら感謝の祈りを捧げて家の裏で自然に返す=朽ちるのを待つ、とか…。異なる文化を知るということは、また別の世界観をのぞくということなのだなあ、と実感しました。そう言う意味で、淡々としているけれども、刺激的な本でした。