温和な司馬さんを物語るエッセイ
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これは、1983年から約1年半の司馬さんの思い出を綴った書です。この頃は、「箱根の坂」を出版されるとともに、「韃靼疾風録」を執筆されていた頃。
大韓航空機事件の頃ですから、朝鮮との関連記事も多くあります。国内では、ロッキード事件の一審判決やグリコ事件がありました。
全般的には、日常的な記事が多いため文章が抵抗なく頭を掠めていきます。その中では、「訴えるべき相手がないまま」で環境問題を論じられているのが印象的です。
また、あとがきとして書かれた井上ひさしさんの「キャンベラの司馬さん」と、森浩一さんの「司馬遼太郎さんと倜儻不羈(てきとうふき)」は、司馬さんの旅行中の思い出や日常が語られており、大変興味をそそられました。
温和な司馬さんを物語るエッセイ集です。