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ヤンセンファーマ 驚異のビジョン経営

価格: ¥1,680
カテゴリ: 単行本(ソフトカバー)
ブランド: 東洋経済新報社
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経営を「科学」した好事例 ★★★★☆
開発から営業までバリュー・チェーンを横断して、経営を科学して事業を伸ばした好事例をまとめた一冊。

本書で扱われている改革内容を大枠で捉えると、以下の三点にまとめられる。
(1) クレドを原点とした企業風土改革とそれを維持する組織づくりを行う
(2) 営業を科学的に管理し戦略的に売上を伸ばしていく
(3) 開発プロセスを標準化し効率的なプロジェクトマネジメントを可能にする

一番面白かったのは、(2)の営業を科学するの章。本書の舞台となっているヤンセンファーマ日本法人が日本市場におけるヤンセンのマーケティング・カンパニーであることに鑑みればこれは自然。営業活動を論理的に因数分解していき、分かりやすい形でそれをモニタリングするツールを生み出し、一つ一つ丁寧に管理・推進していく戦略的な営業は、業界問わず参考になると思う。

(1)の企業風土改革は、その原動力の大半がJ&Jの素晴らしいクレドにあるとの印象を受けた。このクレドのように組織を貫く価値観が分かりやすく明文化されたものがなければ、どのような施策を打っても小手先のものに終わってしまうのだろう。改革プロセスの中で一番心に残ったのは、ビジョン策定段階で社員を徹底的に巻き込んだところ。時間も労力もかかるだろうが、こういう一番基本的なところでのコミュニケーションを疎かにしてはいけないのだと思わされた。

(3)の開発プロセス改革については、プロジェクトマネジメントの改善という表面的なテーマに終わることなく、人材育成まで踏み込んで描かれている点に好印象を抱いたが、内容の深さという点ではいまいち。営業や開発というバリュー・チェーンの一部を切り取っても、常に「戦略」「プロセス」「人材」という三方向から取り組むべきというアプローチはとても勉強になった。

医薬品業界に強い興味を持って手に取る読者(私自身を含む)には、そのバリューチェーンにおいて大変重要な役を担う開発に関する掘り下げ不足に不満を感じるかもしれないが、業界問わず一般的に経営に興味ある人々には面白く読める一冊だろう。
いい本だとは思うが、掘り下げが浅く感じる。そのため、そのいい内容を活かしづらい。 ★★★☆☆
意地悪なわけではないが、常に勘ぐってしまうのは、経営者が実にうまく経営を成し遂げたのか、たまたまその時期に競争力のある商品が導入され、その好機をうまく活用したのかどちらなのだろうかということである。

売上を倍増させたという関口さんの経営手腕に異を唱える人はいないと思う。しかしながら、貧弱で競争力のない商品を抱える中、奮闘したという本をいずれ探し当てたいものだと思っている。市場の大きさが変わらなければ、大躍進を遂げている企業があるということは、シェアを大幅に失っているという企業もあるということであり、その経営を担うことになったら一体どうするのかということが今もずっと考えていることである。

5年以上の活動内容の総括ということになっており、折角のそれぞれの素晴らしい活動が、なんとなく掘り下げが浅く薄っぺらに感じるという読後感を持ってしまいました。
医療関係の経営の本であれば、戦略プロフェッショナル―シェア逆転の企業変革ドラマ (日経ビジネス人文庫)がおすすめ。明日にでも活かせる知識がいっぱいある。

参考になった個所は以下の通り、
→J&Jのグループ各社は、分権経営の考えに基づき大幅な権限移譲を受け、各々の市場・顧客のニーズに応じて最適かつ独自の事業を行うことが積極的に推進されている。

→コミュニケーションが本当にきっちりできれば、モチベーションを高め人を成長させることができると考えているので、私は全MCメンバーと一対一の面談を年4回行っています。
 管理職、経営陣、経営トップこそ、常に双方向のコミュニケーションを意識しいなければ「裸の王様」になりかねません。
 相手にとって厳しい話、重要な話は、なるべく一対一でするようにしています。

→組織の中で昇進するためにも、先輩、同僚、後輩との間で良い人間関係を作っておくことが重要です。
 まず相手の話をよく聞くことです。相手の立場に立って相手の話を聞くことで、本音を聞くことができます。

→社員の人に権限を委譲し仕事を任せ、リーダーシップを発揮してもらって成果を上げ、一方でコーチングにより成長を促し、組織を強化していくことが必要になるのです。

→改革されたプロセスを実行して成果を挙げていくには、能力のある「人材」が必要です。
 改革プロジェクトのロードマップを示し、「なぜ変わらないといけないのか」を繰り返し説明しました。

→まず営業改革を優先させ、社員が成功体験を積み重ね、研究開発部門と営業部門が車の両輪のように機能していかない限り、将来にわたって「具体的成果」を生み出すことはできない
ビジョン浸透と改革の教科書 ★★★★★
ヤンセンファーマの社長だった著者が行った経営再建策を書いるのだが、劇的に変化を遂げており、
少し脚色すれば小説にでもなりそうなほどである。

様々な改革の基盤となっているのは、本著のタイトルにもなっている「ビジョン」なのだが、
科学的営業の確立、製品開発フローの標準化など業務改革も行っており、その手腕の凄さを感じ
させられた。
むろん、ビジョンについても社員一人ひとりが当事者となれるよう仕掛けが施されているし、
一度作ったビジョンを聖域とせず常に改めていくという姿勢にも非常に共感できた。

ビジョンや理念を掲げてもなかなか社員に浸透していない企業も少なくないと思うが、そういった
企業の経営者にはぜひ読んでもらいたい一冊である。
就活中の娘に ★★★★☆
外資系医薬品メーカーを第一希望として就活中の娘に、買ってあげました。これからの企業の在り方、存在意義、企業で働くことの意義について参考になったと思います。これから社会へ巣立つ方々に推薦します。
成長企業の根本 ★★★★★
製薬業界の中で成長を続けるヤンセンファーマ。
その経営と成長の思想がクレドーとビジョン。
J&Jの経営哲学であるクレドー(我が信条)を、ヤンセンの日々の企業活動にあうように落とし込まれたのがビジョンです。
各企業では、このようなビジョン的なものは経営陣だけが作成する場合が多く、一般社員からは現実に即していいない理念として認識される場合が多いです。。一方で、ヤンセンファーマでは、一般社員からの経営陣までの「わいがや」で、ボトムアップされできたものという点が、ビジョンが現場社員から経営陣まで理解され、現実に即した成長につなげる理念になってることが分かります。しかも評価体型までビジョンにそって出来ているという点で、非常に一貫性がありました。経営者やそれに近い立場の方にはより参考になるかもしれません。
文体は、解説書のような本ですので、読みモノとして読んではいけません。