自由とは何か
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34歳の公務員マチウ。
彼は「自分だけを自分の根拠にする」ことを可能にするため、
全面的に自由であることを欲している。
そして、いつか自らの全生涯をアンガジェする(拘束する)行為によって、
自己存在の根拠を確立させることができると信じ、その行為の訪れを待ち続けてきた。
あらゆる決断を先延ばしにしてきた彼の34年間、
それは、いわば自由という名の長いモラトリアム期間だった。
しかし、恋人のマルセルとの間に子供ができたとき、そのモラトリアムは終焉を迎える。
生活、金、他者との関わりの渦に巻き込まれ、マチウの自由は大きく揺らぐ。
自由とは何か?
四部から成る未完の大作『自由への道』は、この根源的な問いで幕を開ける。