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草莽枯れ行く (集英社文庫)

価格: ¥1,000
カテゴリ: 文庫
ブランド: 集英社
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今の時代の草莽・・・? ★★★★★
レビューなんておこがましい事は最も苦手な事です。
今回の 草莽枯れ行く はたまたまの経緯がありますので・・・一筆啓上申し上げます。自分の中学校時代からの友人が年賀状に・・・リタイヤ
したとはいえ、成仏しきれずに 草莽 なる会社を興しました。なにかをやり遂げたい思いであります。・・・と言う文章が書いてありました。
正直なところ、なんと読むのかも解らない状態で、今から思うと恥ずかしい限りです。
素晴らしい意味の深い言葉でした。
草莽を探っていく内に・・・本書 草莽枯れ行く にぶち当たりました。まさに龍馬伝の裏社会が見事に描かれています。世の中表もあれば裏もある・・・まさに真髄を極めた内容に驚きと感動を覚えました。
政事には裏がある。裏のほうに本当の面白さがあるなと自分のかっての職業を思い出しながら読みきりました。
忘れてはいけない事が世の中にはたくさんあるなとしみじみ感じ入ったしだいです。
魑魅魍魎の時代を駆け抜けた漢(おとこ)たちの熱き生き様を見よ! ★★★★★
『竟に諸候恃むに足らず、公卿恃むに足らず、草莽志士糾合義挙の他にはとても策これ無き事 …』久坂玄瑞が武市半平太に宛て、坂本龍馬に託した有名な書簡に見られるこの文言は、志を持った在野の人々こそが日本の変革を担う原動力になるという、吉田松陰の「草莽崛起(そうもうくっき)」論を表したものだそうだ。(チャンネル桜「草莽崛起」番組紹介記事より)

幕末の動乱の時代に熱き志を持って立ち上がり、この国の未来のために命を捧げた一人の男相楽総三の生き様を中心として描かれた歴史小説。この時代の読み物は、主に司馬遼太郎氏の作品を中核として色々楽しんできたが、最近になって浅田次郎氏や北方謙三氏などが新たに加わりその趣を増している。前者は『壬生義士伝』で、南部盛岡藩出身の吉村貫一郎を主人公として「新撰組」解釈に新たな風を起こし、後者は本書で下総郷士の相楽総三に焦点を当てている。

北方氏がその時代をどのように眺めているか注目していたが、清水次郎長という博徒を取り上げ、彼の視線(男の目)を通して語らせるという切り口はとても新鮮だった。土方歳三・坂本龍馬・西郷吉之助・勝安房(海舟)の歴史的人物や剣豪の沖田総司・中村半次郎・山岡鉄舟、それに同じ博徒の新門辰五郎等々の漢(おとこ)たちの生き様がクロスオーバーしながら、魑魅魍魎ともいえる騒然とした時代を駆け抜ける。そのスピード感は爽快で、当初分厚いと感じた文庫本はあれよと言う間に残り少なくなり寂しい思いがした。

敵味方の区別なく登場人物の魅力に引き込まれるが、相楽総三を取り巻く人たちの彼に対する友情の篤さに心が打たれた。後半になって相楽はあっけなく殺されてしまい、悔しい思いが断ち切れなかったが、心憎いラストシーンで読者を納得させる。北方節の面目躍如といったところか。「政治の疲弊に対する民衆の失望」というと今の時代がまさにそれだが、平成の世には坂本竜馬の登場はないのだろうか? 最後に、ハードボイルドというとバーのカウンターとかバーボンが思い出されるが、草鞋に椿油というのも一向に悪くない・・・・。
幕末に命を燃やした男の群像 ★★★★★
清水の次郎長を主軸に、様々な境遇の中で幕末を駆け抜けた人々を描いた力作。

新選組では土方歳三と沖田総司、 赤報隊の相楽総三、火消しの新門辰五郎、薩摩の西郷吉之助、幕臣の山岡鉄舟、土佐の坂本龍馬、薩摩の人斬り中村半次郎等々‥‥まさに幕末の生んだ時代の寵児が勢揃い。これに侠客の次郎長が絶妙に関わって、佐幕倒幕に偏らず幕末を人で語った姿勢には感服の極みです。

特に相楽に関しては、よく調べた形跡の窺える非常に細やかな叙述で、その人生の辛苦が痛いほど伝わってきて、めちゃくちゃ切ないです。 次郎長の視線も相楽には最期まで温かく注がれ、ラストは相楽に相応しい最高の餞で締めくくられます。

「草莽」とは吉田松陰が遣った言葉だと思いますが、富みも権力も持たない小さな存在が、時代に真剣に向き合い、人知れず大望を胸に生きて斃れていく‥‥けれどその想いはまた一人の草莽に受け継がれ、その容易く時代に呑まれるほどの微弱な存在は、それでも生きて行くのだと謳いあげたこの作品は、ひたむきな命たちの挽歌です。