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嫌われ松子の一生 (下) (幻冬舎文庫)

価格: ¥630
カテゴリ: 文庫
ブランド: 幻冬舎
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目立ったスレなくきれいです。中身:書き込み・折れ・開きクセなくきれいです。
嫌われても、しあわせ? ★★★★☆
とても有名な話しなのでしょうけれど(映画にもテレビドラマにもなっています)ちょっとした躓きから転げ落ちる女の一生を自身のモノローグと甥にあたる大学生が交互に語る事で非常に惹き付けられる展開になっています。もうコテコテのドロドロの思ったとおり以上のベタベタな展開です。まさに転落人生の話しなのですが、何故かとても読ませます。私は基本的にはコテコテでベタベタなものは好きではないのですが、この作品からはそれを手段として、コメディにしているように私には感じました。


昭和を生き抜いた押しに弱いけれど開き直ってしまう運の悪い女、というキャッチフレーズがつきそうな1人の女性の物語を、上手く甥を使ってミステリー仕立てにしています。頭がよく、美人で、押しに弱く、保守的な女性が(きっとその当時にも、いっぱいいたはず)ちょっとした躓きからありとあらゆる不運が襲ってきます。時代を昭和にした事で全く現実味が無いでもない、という微妙なリアリティをまとっていて、なかなか読ませるのです。そんなに運悪くならないだろう?とツッコミたくなる客観的視点を黙らせるだけの現実味は無いけれど、読ませるチカラとリズムがあるのです。


松子というキャラクターの自然な凄さ(性格的問題)、と境遇が(まさにドラマのタイミングのよさ)合わさったところに、テンポの良さに、非情にひきつけられました。彼女の見る目の無さと、信じすぎてしまう度胸に、いわゆる「生き方下手」に、リアルなものを感じました。「生き方下手」を憧れる人もたくさんいらっしゃいますから。おそらくそんな人たちを主眼において書いたのではないと私は思うのですが、この辺がちょっと微妙で、ミステリー仕立てなのになりきらず、社会派にもなりきらない不安定さがどう受け取れば良いか微妙でした。松子の結末には納得できても、甥である笙の結末や小説としての結末にやや難があるかとも思いますし、宗教的な部分に説得力もあるのですが、松子のキャラクターと顛末が強すぎて、インパクトが薄くなってしまって感じました。



あともう少しで松子にも幸せになるチャンスがあるにも関わらず、決して幸せな方を選べない、また我慢できない、あるいは説明し忘れ、頭は良いのに衝動的に開き直り、とことんまでいってしまう彼女の不器用さが愛おしく感じる、という読み方も理解できます(もちろんある程度ですが)、がやはり自分から引き受けてしまう悲しさと可笑しさがあって、そこがとても私には良かったです。松子はある意味天然の可笑しさが潜んでいるように感じました、彼女そのものはきっと可笑しくもなんとも無くただ必死なのでしょうけれど、その姿を可笑しくみせる小説だったのではないか?と。彼女の不運はある意味自ら招いた部分もあるように見えるからです。


誰にでも潜んでいるちょっとした躓き(躓かない人はいません)の奥に広がっている可能性を見せてくれる作品でもあります。転ばない人はいませんから、誰にでも起こりうる可能性を暗くならずに見せ想像させる小説、そんな読み方も出来そうです。
携帯小説っぽい ★★☆☆☆
上巻の方がまだ先が気になって読めました。
なんか、1つ1つのエピソードが嘘っぽいというか(うまく書けませんが)。
松子がソープ嬢になって、仕事から帰ってきて
ブランデーのグラスを片手にシルクのパジャマを着て気だるく通帳を眺める…みたいな
描写がギャグっぽく思えて冷めてしまいました
作者の方は大真面目に「お金はあるけど孤独な女性」というイメージで書いてるんだろうな
と思うと余計に白けてしまいました。
ところどころにそういうベタな描写が多くていまいちでした。
他の方も書かれていますが、台詞がクサくて「ええっ」と思ってしまった。
あと、好みでしょうが松子がショックを受けたときに
同じような表現が多いのが気になりました。
(やたらと「。」が多くなる。)
面白いと思える部分もあったし、松子みたいないいキャラがもったいないな、と思いました。
個性派な物語。 ★★★★★
面白い!
特に下巻。

ただ読んで感情移入できるかはひとによるのかもしれない。
文章が淡々としていて、状況はリアルに浮かぶが、松子の感情に読者がついてきにくい。恋愛依存で愛しすぎるタイプな私はけっこう共感したけど。


私は不器用だけど突っ走る松子が愛しかった。
家族・男・仕事、どっかで片思いじゃなく、成立した基盤があればあとは頑張る松子なんでしあわせやったんやろなぁ。

人生の転機や落ちこんだときにおすすめ!!
「女の一生」にしては痛すぎます!救いがないのが辛いです! ★★★★★
内容はドラマなどになった通りで、、、
小学校教師だった松子おばさんが人生の落とし穴にはまって、、、
つぎつぎと転落の人生をたどり、最後は殺されてしまう、、、
という言わば「不幸な女の一生」なのですが、、、
作者が男性ということもあってか、女の私が読むと、、
松子さんの人生に救いや良い所が全く無く容赦が無い感じがして、
正直、読むと辛い気分になってしまいました!
もう少し松子さんの人生に救いがあれば良いのに、と、
老婆心ながら思わずにはいられない、のです、、、
心に余裕のあるときに読まないと、こたえます!
もう少し女の気持ちになった「女の一生」を書く作家さんは居ないのかしら、、、
やり切れなさが残るなぁ ★★★★☆
人の人生の中には、「れば」とから「たら」と言う事が浮かんでは消えるもの。
あそこでこうしていれば、あの時項だったら。。。
そんな思いにかられながらも、そこそこの人生でそこそこに幸せと不幸せがあって、それでも何とか過ぎてきた。
そんなところが、おおよその中年の自分の人生への採点ではないだろうか。
ところが松子の場合はそうは行かない。

この題名が不思議な題で、「嫌われ」と言うところはよく分からない。
いったい誰が嫌っただろうか。あえて言うなら、人生の女神に嫌われたというところか。
だいたいが、人生の女神はそこそこに平均律がお好きで、どっか帳尻を合わせてくれるもんだが、松子の場合、限りなく自分でその帳尻をフイにしているとこらがないではない。
全く、生きるのがヘタというか、わざわざややこしくしているというか。
いくつもいくつもあったその帳尻あわせのチャンスを自分で放り投げているような気がするね。
きっと、同じ題材でも浅田次郎ならもう少しいろんな意味で人情味を加えて、ウィットと救いをトッピングしたんではないかしら。その点が、主人公松子の甥の世代を持ってきて狂言回しにしているんだけど微妙にそれは成功していない。

松子の人生に結局一番影響を受けたのが甥っ子かも知れないけど、そのこととほとんど関係なく、甥の恋人が自立して彼から去って行く、なんてのはどうも話としてわざわざここに入れ込む必要があるとは思えない。
松子の内面を甥が明らかにして行く格好で読者の前に露にしているけど、その手法は必ずしも成功していないという気がする。

他人の余りの不幸は、自らの幸福を再認識するという、そう言う効果を認める事はできますよねぇ。