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ECCENTRICS (1) (小学館文庫)

価格: ¥620
カテゴリ: 文庫
ブランド: 小学館
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現実と近すぎる異世界 ★★★★☆
私の欲しいものを探してさまよい、一枚の絵をみつける。

しかしながらそれを選んだ理由は明かされることなく
彼女は記憶を失ってしまう。

記憶を失った彼女が出会う人々は優しく、他人ながらも彼女のために世話をしてくれたりする。

幸せな世界、でもそれはエキセントリックな世界だった。
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ふと過去を思い出して、そのころの自分はいまでは常識的にありえないことをしてたなぁとか思うことってありませんか?
 そこに至る過程はとても自然で自分の信念に基づいて一生懸命生きてて、
その生き方は今も変わらないはずなのにぜんぜん違う世界で生きてたなぁ、っていう感じ。
この本も気がついたらものすごい世界にどっぷりつかってます。
ありえない、でももしかしたら似たようなことはあるかもしれない
現実ととても近い異世界のお話です。

こんな凄い作品には30年生きていまだに出会ったことがない ★★★★★
なんとも凄い作品があったものである。
記憶を失った千寿が出会う双子の兄弟、天と劫。この二人は見分けが
つかない。他人が見て見分けがつかない、というだけでなく、
「自分たちですら」見分けることが出来ないのだった。自我の境界が
曖昧なのである。
「君たちは腕が四本ある女の子を探さなくてはいけないよ」そう
精神科医に言われた彼ら。

記憶を失う前の千寿・beforeと失った後の千寿・after。この区別に
よって千寿は仮想的に腕が四本ある女の子なのであるが、それにお互いが
気づかない。
これだけの哲学的な設定を考えるだけでも凄いのに、多様な解釈が考えられ
るストーリィだがどんな解釈をしても少しだけ矛盾する。私はこれは作品が

不完全だというのではなく、作者が作品に意図的に仕込んだ罠だと解釈する。
「どんな解釈をしても微妙な矛盾を含む」というのが作品の基本的な性質だったのだ。
これは駅の時計が指す時刻に至るまで周到な計算がなされていることからもわかる。
これによって作品は読者の前に投げ出され、脳天ぐるぐるする読者はひたすら
踊らされるのだ。