ハイロウズの通算7作目となるアルバム。やっぱりハイロウズはすごい。1曲目のイントロを聴いただけで一気にリスナーを「夢を抱いたあの頃」にワープさせる。実年齢は四十路に差し掛かるというのに、彼らの感性はいつまでも少年のままなのだ。そうじゃなければ「ロックン・ロール以外は大した事じゃない」(<3>)なんて詩は書けないし、強烈なギターサウンドのなか「曇天」(<12>)なんて絶叫できない。長い間ファンをやっていると、良くも悪くも変化していくアーティストと自分との距離を感じてしまう瞬間がある。しかし、ハイロウズはリスナーの期待を裏切らない。いつでもずっとファンで良かった…と思わせてくれるのだ。もちろん本作も、そんなハイロウズ流ロックンロールが全開だ。
先行シングルカットにもなった、マーシーのうねるようなギターサウンドが印象的な<1>で始まり、名曲<14>で幕を閉じるこのアルバムは、今まで以上に粒ぞろいの楽曲がそろった力作。9・11の事件以降の世界情勢を意識して作られた(と思われる)、小気味よいくらいの批判根性丸出し、かつ、言い得て妙な歌詞に思わずニヤリとさせられる<4>、トランペットとシンセサイザーをバックに、「大好きなあの子と一緒に映画に行けたらなあ」としんみり歌う<10>など聴きどころ満載だ。残念ながら、CM曲でも話題になった大ヒットシングル曲「いかすぜOK」は収録されていない。しかし、それを差し引いても、リスナーの思考を思いっきりプラスへ変換させるパワー(とユーモア)がアルバム全体を通してたっぷり詰まっている。このアルバムは「買い」でしょう。(中西 章)
「映画」だけでも
★★★★★
聴くたびに、涙が出そうになるのは中島みゆきさんの「永久欠番」以来、このアルバムの中の「映画」かもしれません。
そんな曲に出会えただけでも5つ星です。それ以外にも、かっこいいの一言に尽きる「曇天」、ヒロトさんの生きる覚悟が伝わってくる「too late to die」、大好きな「一人で大人一人で子供」「アメリカ魂」など、ブルーハーツの時から変わらないすべてを包み込んでくれる優しさがいっぱい詰まってる素敵な1枚だと思います。
人気が無くたって俺は好きだ
★★★★★
今回のアルバムはどことなく「リラクシン」に似ている曲構成になってます。
このアルバムを聴いて「ハイロウズらしさが」失われたとか「俺は好きじゃない」とか言う人もいます。
でも僕は好きです。
いつまでもハイロウズは僕の中では本当に「英雄」ですから。
僕的には「Too Late To Die」はお勧めですね。
そしてハイロウズのカッコよさを求めるなら『曇天』はお勧めです。僕も個人的にお勧めです。
また『マミー』や『一人で大人、一人で子供』、『ななの少し上に』は個人的には好きです。
このアルバムは誰が聴いても大丈夫だとは思いますがやはり中級者くらいが聴くのがお勧めです。
『マミー』とか『天の川』などは中級者の人も批判する人が多いからです。
僕はこのアルバムは是非とも聴いてほしい一枚です。
2002
★★★★☆
ロックンロールの楽しさをストレートに表現するのは口で言うほど簡単じゃない。むしろ、適当な小理屈や男の美学なんかをこねくりまわしたほうがソレらしく見えたりするのがなんだか面倒になってしまったロックの現状のようだ。
そこいくとザ・ハイロウズはいい。スクスク育ったロック・バンドのいい肉体をしてる。それもムリからマシーンで鍛えたような筋肉じゃなくて、普通に米を食べて出来た日本人のカラダ。これがもう7枚目のアルバムだというのに、なんだってこんなに愉快に面白くやってんしょ、この人たち!うらやましいぞ!
甲本ヒロトが7曲、真島昌利が7曲というちょうど半々の塩梅がハイロウズの甘味、苦味、塩っぱい味をうまく引き出している。音は陽気、痛快でも、歌の内容は結構毒気が強いハイロウズ。本作では4がその最たる曲だが、アメリカの正義にゃウンザリは誰もが感じていたところだし、14の"絶望なんて当たり前"のピリッと辛い現実感なんかはきっちり今だ。"♪昭和18年ラバウルで"なんて歌詞も唐突に出てくるし、奇妙な味わいも倍増。しかしながら、"炬燵がちょっと熱すぎるんじゃないか"という言葉をかつてこれほど激しくロックで歌ったバンドもいない。ヒロト曲では脱力の極み、9が白眉。イイおとなといわれるようになって、初めて気がつく自分の中にあるくだらない、しょーもない、子供じみたバカっぽさを真っ向から見つめた、これは問題作である!
大好きなアルバム
★★★★★
もう解散してしまったハイロウズのアルバムの中で最も好きなアルバムです。
私は「一人で大人 一人で子供」と「アメリカ魂」と「毛虫」が好きです。
「一人で大人」は精神的にきつい時に聞くと、またがんばろう!と思えます。
マーシーは素敵だ〜
アメリカ魂
★★★★★
4曲目の『アメリカ魂』にはハッとさせられた。
『君たちの悲しみは
俺にはわからないけど
俺の悲しみはどうか
君たちは分かってくれ』
3千人のために10万人を殺す。
それがアメリカ。
そして毎日の様に死んでいく累計10万人を超える人間には目もくれず
選ばれし3千人の為に、貰い泣きしながら手を合わせる日本人。
60年前は日本の民衆が110万人焼き殺された。
はたして今回は、何人殺せば気を静めてくれるだろうか。