じれてじれてやっとハッピーエンド
★★★☆☆
年下イケメンワンコ攻×歯科医受
あらすじで受けが攻めの気持ちを誤解して、攻めが叔父を好いていると勘違いしていることはわかっている。その状態で受けの歯科医が攻めに対していろいろ考えるのだが、誤解とわかっているので感情移入できない。延々と受けの悶悶に付き合わされてページが進まない。そこを抜けてついに攻めが受けに告白してこれで二人の仲も進展するぞ、よしよしと思ったら、まだまだ受けは悩む。今度は大人の言い訳。もういい加減にしてと思った頃、攻めに横恋慕する女子(一途といえば聞こえはよいが自己中、強引な攻めの同級生)の爆弾発言でついに受けも攻めがすきという自分の気持ちを受け入れ、後はさくさく伏線も含めて解決、二人の仲も進展してハッピーエンドとなりました。
中盤までの感情移入できない独白三昧に疲れて星3つ、後半の進み具合、悪役の商売敵(近くの歯科クリニック経営者)の断罪の仕方で星4つ半、平均3.75ですが、ページで半分以上じれじれしたので星3つで。
大人であることの情けなさや恋への姿勢について
★★★★★
穏やかながらほとばしる情熱がある恋。
北海道を舞台にした十五歳差の恋物語。そこまで分厚いわけでもないのに読み応えがありおススメです。
すでに仕事でもあきらめ気味の歯科医師新堂と、隣家の叔母の家に居候をする学生の晴。
完璧な容姿なのにどこまで純情で素直で穏やかな晴。
その晴からずっと好きだったと静かに告げられて、新堂は素直にうなずくことも拒否することもできない。
大人だから、仕事をしているから、経営者だから。様々なことが新堂から「素直に晴をどう思うか」という基本的な想いを奪ってしまう。
そんな新堂を責めるわけでもなく拒否されたものと受け入れる晴の、それでもあきらめられない気持ち。心中だけに秘めた報われない想い。新堂が自分を受け入れてくれるんじゃないかと期待しながらでも期待できないもどかしさ。
告白された者と告白した者。
立場が違う二人。
簡単そうに見えた二人の始まりがこんなに難しいものだったと、読み始めの予想を裏切る中盤戦は気持ちの羅列が細かくてよかったです。
その分進展はのろいのでうざったさを感じる方もいるかもしれませんが、この本はその気持のうだうだ感がキモ。
最後には心底よかったと、真に二人の今後に微笑ましさを感じずにはいられませんでした。