アイヌにかけた人々
★★☆☆☆
初出は1992年の『週間朝日』。
アイヌについて語り尽くした一冊。多くの考古学者や言語学者の活躍と事績が次々と並べられ、日本近代におけるアイヌ学の発達が見通せるようになっている。なかでも大学の先生などの官学と地元の郷土史家の協力があったことを強調している点は面白いし、意味のある仕事と思う。
しかし、読んでいて面白くない。北海道が歴史的ドラマに欠ける土地であるのも原因かと思われるが、学説史的になっている点もまずい。
北の寒さは描かれず、むしろ、その豊かさが強調されている点は興味深い。