シャーロック・ホームズ譚が書かれたのは日本で言えば明治時代中期から(以外にも)昭和初期でしたので、ドイルの英文は今となっては硬く、ボキャブラリーも古めかしいものになってしまっています。　だからこれを読んでリーディングの勉強になるかどうか−は読み手のレベルによって大きく違ってきます。　受験や、これから留学を考えている人にはあまりお薦めできません。　というか、読めないだろうと思います。　所謂実践英語−（欧米人と会話する、仕事に使える）というものを強調する方からは今時こういう作品の購読は目の敵にされかねませんが、しかし、ある程度自分の英語能力に自信のある方には是非挑戦してもらいたいものです。　こういった英文がすらすら読めれば、少なくとも現代のペーパーバックや雑誌などはいとも簡単に読みこなせるようになるはずです。

この講談社ルビー・ブックスからは以前、ホームズ・シリーズは全部出ていました。　全ての物語の扉ページには小林司さん、東山あかねさんという日本を代表するシャーロキアンお二方の解説が載っており、またストランド・マガジン初出時のイラストも漏れなく掲載されていて、全集として揃えても恥ずかしくない立派なものでした。　この新装版では現在のところ出版される予定はないようで残念です。