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新装版 翔ぶが如く (10) (文春文庫)

価格: ¥734
カテゴリ: 文庫
ブランド: 文藝春秋
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明治初期の苦悩とは・・・。 ★★★★★
読了まで相当時間がかかりました。これはやはり読んでおくべき作品ですね。
司馬先生の作品のなかでも、これほど重く緻密なデータ構成のものも少ないです。

鹿児島・城山で政府軍に薩軍は敗れ、西南戦争はここで一応の終息となります。
勇猛な薩摩隼人の(ある意味)自滅で、日本の社会はやっと立憲国家へと
スタートする感じがします。維新の原動力となったのも薩摩、
そしてその膿を出し切る役どころもやはり薩摩でした。
それは前者が大久保利通、後者が西郷隆盛に置き換えることが出来ます。

この西郷という人は日本史上でも何とも稀有な人物です。
煎じ詰めれば、空気のようになってしまう・・・・。
ある一時期、この西郷こそ日本のイデオロギーそのものだったんですね。
思えばこの2人は島津斉彬の思想をもっとも濃厚に受け継いだ
云わば‘愛弟子’でした。維新も西南戦争も
斉彬に内在した大いなる矛盾なのかもしれません。

この西南戦争当時は将領としても未熟な将星或いは政府軍ですが、
ここで収斂した結果が日清・日露の僥倖を生むことに繋がります。

明治初期の混乱と苦悩、明治の最初の10年は日本の近代史を学ぶ上で
もっともエキサイティングで重要な時間軸です。
ともすれば、維新を成就させるために奔走し志半ばに斃れた幕末の志士たちに
衆目は集まり易いでしょうが、維新からの創業時代を支え乗り越えた
無名の人々の歴史こそ尊いものと思います。大変面白かった!

是非、お勧めします。
薩人の悲劇 ★★★★★
最後の城山で、西郷隆盛、桐野利秋、別府晋介、辺見十郎太らが次々に逝く情景には泣かされました。勇猛なれど、戦略が皆無だった薩人の悲劇。でも、私は彼らがたまらなく好きでありました。
本当の意味での維新終了 ★★★★★
最後まで士族らしさを貫いた薩摩の人達の姿に感動しました。

この戦いを機に民が主役になりますが、
薩摩ではじまり薩摩で終わった観のある明治維新というものに
歴史の皮肉を感じました。

維新から西南戦争までの濃密な5年を描く超大作 ★★★★★
「死ぬなら故郷で」の一念で日向から豊後山中を突破して九州を縦断、鹿児島城山に籠った残兵は300人…。包囲する政府軍は7万人。死を恐れることを何よりも嫌った薩摩の将士たちは最後まで戦い、そして死んでいきました。こうして日本最後の内戦は終わり、本当の意味での近代化(武士の社会の終わり)がスタートすることになります。
全10巻を振り返って。
この超大作で描かれた時期というのは、征韓論をめぐる政争があった明治6年から西南戦争終結の明治10年まで(最後に少しだけ大久保の暗殺(明治11年)は書かれていますが)のたった5年間です。司馬はあとがきで「私は維新から明治10年までのことに昏かった。かつては西南戦争以後に明治国家の基礎が成立すると思っていたが全くの思い違いであった」と語っていますが、本書を読み終えて司馬と全く同じ感想をもちました。ややもすると明治維新で世の中がすべて変わって近代国家になった(確かにインパクトが大きいことではありますが)と考えがちな歴史教育のなかで、維新から西南戦争までの時代の雰囲気とか、国づくりのプロセス(すなわち大久保による「官」の強化とそれに対する士族の抵抗)とかを濃密に描いたこの作品は、評論小説としても非常に意味をもつ作品だと思います。
また、これも司馬自身が「主人公は西郷と言う虚像」というように、維新の立役者であった西郷の晩年の実態と周りが担ぐことにより増幅した虚像をうまく、しかも切なく描いている点も、とかく英雄視されがちな西郷(と対比して悪役視される大久保)の批評的な側面ももった作品ともいえます。
読みにくさという点では司馬本で文句なしのナンバー1だと思いますが、それだけに考えさせられることも多い作品。「(娯楽として)面白い」とはいいませんが、歴史に興味のある方には是非挑戦して欲しい作品です。
深く、濃い、西南戦争を描いた最高傑作 ★★★★★
 本作品を読もうと思ったきっかけは、「小学生が知らない歴史上人物、大久保利通ワースト1」の記事を読んだ時だ。「大久保利通を知らないなんて何事だ!!」と思ったが、よく考えてみると自分自身そこまで深くは知らないことに気づいた。「大久保利通が出ている小説を読もう」と思った時に一番最初に頭に浮かんだのが、本作品・「翔ぶが如く」だ。

 期待していたほど大久保の人物像を深く知ることはできなかった。しかし、その代りこの時代の奥深さを再認識することができた。

 「好きな時代」の統計を取ると、たぶん「戦国」時代がトップに来るだろう。しかし、「幕末」も「戦国」と同じくらい、いやそれ以上に面白い時代だといえる。もし「戦国時代が好き。他の時代には興味がない」という人はぜひ本作品を読んでほしい。いや、本作品でなくても司馬遼太郎の幕末作品を読んでほしい。