Silent Alarm
価格: ¥1,455
バンドというより革命集団のようなブロック・パーティーは、ロックンロールという媒体に、普通なら哲学講義にふさわしいような真剣さで近づいた。だが、『Silent Alarm』(邦題『サイレント・アラーム』)で、知的でしなやかなロンドンっ子の“自立的ユニット”は、その芸術形式をよみがえらせることに成功しただけではなく、それを徹底的に改革することに限りなく近づいていている。「She’s Hearing Voices」(邦題「シーズ・ヒアリング・ヴォイシズ」)のような初期のシングル曲がなお、名前を3つ挙げるとすれば、ザ・フォール、ジョイ・デイヴィジョン、ギャング・オブ・フォーといったポストパンクとしておなじみのバンドのイメージから抜け出して、自分たち自身のイメージを刻みつけようとしているのに対し、「Like Eating Glass」(邦題「ライク・イーティング・グラス」やとげだらけの「Price of Gas」(邦題「プライス・オブ・ガソリン」)のような新しい曲で、ブロック・パーティーは、新しく生み出した歯切れのいいパーカッションという型と、広がりのあるサウンドスケープ、政治的なものと個人的なものを巧みに絡ませた謎めいたリリックを開拓した。ラッセル・リサックはポストパンクの大げさな特徴やフレットボードを痛めつけたもろくアヴァンギャルドな奏法を捨てて、ギターのサウンドにさまざまな効果を持たせ、ブロック・パーティーの神経質な激しさに真の美しさを加えた。しかし、バンドの最も柔軟な面であるケリー・オケレケのヴォーカルは、怒りをまくし立てることから息もつけない絶望へと変貌している。「奇跡を望んでいるのか?」と「Helicopter」(邦題「ヘリコプター」)で彼はほえる。望んでいる? ならば、『Silent Alarm』はその望みをかなえてくれるだろう。(Louis Pattison, Amazon.com)