全4巻 ようやくの結末。 ものすごい長編大作であった。
・・・・・その事実は認めよう・・・・・
しかし。なのだ。
正直な所 同作者の「上弦の月を喰べる獅子」を読み終えた時の様な感慨に泥酔することは出来なかった。
なにゆえか。
おそらく あまりにも沢山の要素を詰め込み過ぎているのだ。
伽噺としてのスケールの大きさ、史実を元に廻る展開も凄いと思う。
登場人物に余計な者もいない。全ては計算され尽くし、練られている。
ただ、あまりに手を拡げ過ぎた結果なのか伽噺としての“結”なる部分の説得力に欠けるように思った。
クライマックスにゆくにつれ、“謎”は解き明かされ叉、そんな莫迦な!と云う展開も見せてはくれるが、
「いい加減終わらせて」気分を否めなかった。
“結”に向けての気分の高揚が無かったのだ x x x
それから、本末転倒と云うべきか、「密教」の本来の姿を伝え切れてない。
陰陽道に拘る筋の方ばかり強調されている。
確かに、空海が主人公とは云え 主題が「鬼と宴す」だから仕方ないのかもしれないが、残念に思った。
(ココは好みの問題と認識している)
今から購入(読)しようとしてる方は
「陰陽師」の『唐国版:超長編』と云う認識で入った方がよかろう。