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現代短篇の名手たち2 貧者の晩餐会 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

価格: ¥987
カテゴリ: 文庫
ブランド: 早川書房
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いかにもイギリス的な短篇ミステリー作品! ★★★★☆
いかにも英国的な香りのする本です。同じころにジェフリー・ディーヴァーの「クリスマス・プレゼント」を読んだのですが、こちらは対照的にいかにもアメリカ的で娯楽色が強いミステリー作品集でした。傑作でした。本作も同じようにミステリー短篇集なのですが、肌触りがまるで違います。このイアン・ランキンの作品集は、上質なウィッティとユーモアも漂い、皮肉でブラックさもブレンドされています。文体がとても流暢なのも魅力です。ちょっとグレアム・グリーンを思わせます。切り口はいかにもイギリス的です。訳は延原氏のが一番としっくりきました。

エジンバラという街、人、におい、空気がこれらの短篇を通じて伝わってくるのが、本作の別の魅力的でもあります。「キャッスル・デンジャラス」を読むとエジンバラに行ってみたくなります。「イン・ザ・フレイム」は意外な展開で好きです。「恋と博打」のタイトルと終わり方がつながっていてなかなかしゃれています。「会計士の原則」はロアルド・ダールがミステリーを書いたら、みたいな感じです。「音楽との対決」もリーバス警部もの、音楽、ローリング・ストーンズも出てきて、にやりとさせます。ミステリーは何も、緻密な展開、どんでん返し、だけではないということです。本作のようにユーモアとブラックな味もミステリーには大事な要素になります。やはり短篇ですから。


ミステリ短編が19編。なかなか良い短編も… ★★★★☆
 現代英国を代表するミステリ作家としての評価が定着しつつある著者の、ミステリ短編集。全19編が収められている。
 さまざまなシーンの、趣向に富んだミステリ短編集だが、正直少し読みづらいというか、毛並みが合わないというか…。好みの問題なのでしょうが、かなり流して読みました。
 それでも「これは」と目にとまったモノが2編。
 追い詰める者が、逆に追いつめられる立場に。しかも自身の行動によって。万事休す、絶体絶命感を鮮やかに描いた『恋と博打』。
 殺し屋の標的は占い師の老女。彼女を追い詰め、対峙するが…。ストレートな結末の『吊るされた男』。
 読んでみて下さい。
ランキンらしい一冊 ★★★★☆
イアン・ランキンといえば、イギリスのエジンバラ周辺を活動の舞台にしたリーバス警部のシリーズが有名ですが、この「貧者の晩餐会」は短編集ということで、リーバス警部もの以外の作品も多く収録されておりまして、イアン・ランキンという作家の個性がとてもよく出ている作品集となっています(勿論、リーバスものもありますが、それ以上に多くの非リーバスものが収録されています)。一言でいえば、斜に構えていて、人生の闇だとか、没落していくほうが人間として当たり前というか自然だというニュアンスが色濃く、イギリスの空のように陰鬱な部分がけっこう強く出ています。暗いといえば暗いんだけれど、その暗さの中にちょっと凶暴な何かと、よかれあしかれ文化というものがきっちりある社会が描かれていて、うまく言えないんだけれど、明らかに日本とも他の国とも違う何かが強く出ている作家で、そういう意味ではキャラクターを描きつつも、一つの世界というものをしっかりと描いている作家なんだとも思います。
 ミステリもので短編集なんで、今回のレビューではあらすじとかはあえて割愛しますが、じっくりと読むのがあう短編集です。
 さて。一つだけ蛇足的に取りあげると、この本、以前ポケミスのほうで「貧者の晩餐会」というタイトルで出ていたものとは若干収録作、作品数が違うようです。この文庫版のほうは「現代短篇の名手たち」というくくりの中の一冊で先行作品がデニス・ヘイレンの「コーパスへの道」となっています。なんでこんな変な形で出ているのかまったく謎ですが、コアなファンの方は違いをチェックするのも一興でしょうか。