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現代短篇の名手たち3 泥棒が1ダース (ハヤカワ・ミステリ文庫)

価格: ¥840
カテゴリ: 文庫
ブランド: 早川書房
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軽妙でテンポの良い作品集ではあるが… ★★★☆☆
本書の存在を知ったのは、2009年末の「このミステリーがすごい!」で第8位にランキングされているのを目にしたからです。

その題名からも窺えるのは、泥棒を主人公としたミステリ短編集であることですが、こうした泥棒や怪盗を主人公にした小説の場合、一番の魅力は、その犯行手口の巧みさや奇抜さ、華麗なテクニックといったもので、どうやって盗むのかというハウ・ダニットを楽しみたいと思って読み始めました。

ところが、この作品集の主人公、ジョン・ドートマンダーが犯す犯行は、これと言って特色のないものばかりで、ちょっと残念な気がしました。

例えば、アメリカ探偵作家クラブ最優秀短編賞を受賞した作品、【悪党どもが多すぎる】では、冒頭、相棒とともにトンネルを掘っているドートマンダーが描かれます。
じつは、そこは銀行の金庫室の地下で、壁を打ち破って金庫室に侵入してみると、室内には大勢の人達がいるのでした。
偶然にも少し前に別の強盗団が、地上から銀行に侵入しており、その人達は人質となっていた…という展開のストーリーです。

トンネルを掘って銀行へ侵入という犯行手口は、ミステリではよくある話で、特別面白みのあるものではありません。
この作品で著者が力を入れているのは、ドートマンダーが犯行を行おうとすると、不測の事態が発生し、計画がどんどん思わぬ方向へ行ってしまうという展開の妙なのでしょう。

その他の作品もこの「不測の事態」を扱ったものが多く、このシリーズの特色なのかもしれませんが、当初期待していたハウ・ダニットの部分があまり描かれていない点で、今一つ物語に引き込まれませんでした。

軽妙でテンポが良いところは、この作品集の魅力と言えると思いますが、もっとミステリらしさを味わいたかったというのが、正直な感想です。
ドートマンダー物の短編集です!! ★★★★★
 「ホットロック」や「強盗プロフェッショナル」なんかの主人公ドートマンダー物の短編集です。最後の1編だけ、映画会社とのいざこざでドートマンダーという名前を使えなかったため、ジョン・ラムジー(ちょっと背が低い)が主人公となっています。短編だけに、いきなり事件の渦中にあるところから始まるものが多く、そこがまた面白いですし、次から次へと1冊を一気に読んでしまいました。それぞれが面白いのですが、私のお気に入りは、「悪党どもが多すぎる」、「パーティ族」です。「悪党ども」はとにかく話というかシチュエーションが面白く笑えます。「パーティ」は仕出し屋の苛立った女?との実にさりげない交流というかやりとりが良い読後感を残します。他にはローレンス・ブロックなどの同業者とおぼしきメンバーとドートマンダーがポーカーを囲むなんていう話も可笑しい。それぞれの短編について、序文に作者自身のコメントが載っており、ドートマンダーに対するウェストレイクの愛着が感じられて嬉しい。

 ところで本書の解説で知ったのですが、作者のウェストレイクさん、2008年12月31日に75歳でお亡くなりになったとのこと。もう新作を読めないのかと思うとたいへん残念ですが、まだ未翻訳のドートマンダー物の長編が4作ほどあるようです。
不運な犯罪プランナー&盗みのプロ、ドートーマンダーの奮闘記 ★★★★☆
ハヤカワ・ミステリ文庫の<現代短篇の名手たち>シリーズの内の一冊。
’09年、「このミステリーがすごい!」海外編第8位にランクインした、天才的犯罪プランナーにして盗みのプロ、ドートマンダーが主演する短編集。

印象に残った作品をいくつか挙げてみよう。

「馬鹿笑い」:優秀な競馬馬を種馬として盗もうとするのだが・・・

「悪党どもが多すぎる」:ドートマンダーとケルプは、銀行の金庫破りのため、穴を掘ってやっと金庫にたどりつくのだが、その銀行はなんとギャングに襲われており、そこには人質にされた銀行員や客が閉じ込められていた・・・アメリカにおけるミステリーの最高峰、「MWA(アメリカ探偵作家クラブ)賞」’90年度ベスト・ショート・ストーリー(最優秀短編賞)受賞作。

「雑貨特売市」:盗んだ古銭を故買屋に売りに行くのだが、新たな客が400台の台湾製TVセットをトレーラーに積んで持ち込んできた・・・

「芸術的な窃盗」:昔の刑務所仲間がいっぱしの絵描きになって個展を開いた。彼はドートマンダーに自分の絵を盗んでくれと依頼するのだが・・・

「悪党どものフーガ」この短編集のオリジナル作品。本物のドートマンダーではなく、並行世界に住む泥棒ジョン・ラムジーが登場しドタバタ劇を演じる。最後の「コーダ」で笑うに笑えない結末が・・・

これらを含めて、他の作品のいずれも、盗みのあの手この手、短編の小説作法の大技小技を次々に繰り出し、それに加えてユーモアと皮肉をたっぷりときかせて、計画はパーフェクトなのに、なぜか思わぬ事態を招いてしまうドートマンダーの奮闘ぶりを、最後のオチをきかせて描いている。ウェストレイクの’08年大晦日の急逝が惜しまれる。

最後に、タイトルが1ダースとあるが、収録作が11編とは? 残りの1編はドートマンダーが盗んでしまったのだろうか。
ラインナップがいい選択です ★★★★☆
 この現代短篇の名手たちというシリーズは、なかなかナイスな人選をしてくれるシリーズで,個人的に好きです。2がイアン・ランキン、3がこのウェストレイク、そして次の4がランズデールというのですから。そして人選だけでなく、このシリーズは上に挙げたような作家さんの長篇人気シリーズを主人公にした短篇という日本ではなかなか出ないものをまとめてくれているのも嬉しい限り。
 この泥棒が1ダースにも、ウエストレイクの代表シリーズであるドートマンダーシリーズの作品が多数入っています。ドートマンダーはシチュエーションコメディの要素が強いので、こういう短篇にはちょうどいい作品が多いです。
 価格帯がちょっと高めですが、おっかけてみたいシリーズです。
短編ならではの一風変わったドートマンダー ★★★★☆
不運な犯罪プランナー ドートマンダーが主役の短編集(ドートマンダーもどきが一編含まれているが)。

他人の犯罪のアドバイザーになったり、強盗の人質になったり、無実なのに犯人扱いされたりと、短編ならではの一風変わったドートマンダーが読める。特に、自他共に認める嫌われものの故買屋アーニー・オルブライトとのからみは、面白かった。以下は、その2編のあらずじ。

■雑貨特売市
ドートマンダーがアーニーに盗品を持ち込んでいると、男女のカップルが尋ねてくる。400台のTVセットと、トレーラを売りたいという。アーニーは現物を確認するが ・・・

■今度は何だ?
ドートマンダーは、映画スターが婚約者に送った30万ドルの宝石を手に入れた。マスコミ報道され警戒するドートマンダー。故買屋へ持ち込みにいく途中、地下鉄火災や、テロリスト騒ぎに巻き込まれ、そのたびに警官があらわれる ・・・

ドートマンダーシリーズのレギュラー、準レギュラーは、あまり登場しない。タイニー・バルチャー、スタン・リトル(と、おっかさん)が活躍しないのが残念。個人的には、一見完璧に見えるドートマンダー犯罪計画が、徐々に破綻していくドタバタさ加減が面白いので、短編よりは、長編が好みかなぁ。