全12曲のすべてが忘れがたいが、後にジョーン・バエズがヒットさせた「The Night They Drove Old Dixie Down」とか、「Across the Great Divide」、「Up on Cripple Creek」などは特に際立ったものと言えるだろう。しかし、もっと知名度の低いオリジナル曲、たとえば痛ましい美しさを感じさせる「Whispering Pines」や、ぶっきらぼうな「Unfaithful Servant」も重要なナンバーで、この1969年の名盤にユニークな味わいをもたらしている。本作、そしてさらに見事な内容を誇る1968年の前作『Music from Big Pink』での高水準ぶりを見れば、ザ・バンドがレコーディング・グループとして早い時期からピークに達したことは驚くにあたらない。
2000年に登場したザ・バンドのリイシュー・シリーズの例にもれず、このリマスター盤にもボーナス・トラックが多数収録されているが、「Get Up Jake」以外は、すべてアルバム本編に収録されているナンバーの別テイクである。(Steven Stolder, Amazon.com)