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信長の天下所司代 - 筆頭吏僚村井貞勝 (中公新書)

価格: ¥798
カテゴリ: 新書
ブランド: 中央公論新社
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一次資料に基づいて村井貞勝の動静を追い、信長政権の実像も浮かび上がらせる労作 ★★★★☆
多くの本で村井貞勝といえば京都所司代とされているが、正式には天下所司代。つまり当時は天下=京都と考えられていたことから本書は教えてくれる。

貞勝については公家・朝廷との折衝役、そして本能寺の変で信長・信忠父子とともに散ったという程度の知識にとどまる人が多いのでは? 私もそうだった。

本書は貞勝の所司代就任以前にも触れるが、就任以降(天正元年〜十年)は公家の日記等一次資料に基づいて、X月Y日には何があったかを克明に列挙した貞勝の日次記を作り、それをベースに貞勝の役割、背後の信長の政策方針並びに貞勝に与えられた裁量の程度を、先行研究の批判も交えて検討する。

公家・朝廷との折衝にとどまらず、インフラ整備、争いの裁定、治安・警察関係等、老臣の激務の日々を初めて知った。暦論争は貞勝の屋敷で行われていた。また、三職推任について、「被申候」に関する立花説に依りつつ、それを超えて、誰が誰の意思で発言したかについての自説を著者は述べるが、説得力がある。

貞勝は軍務を担った人ではないので、本書に手に汗握るスリルはない。しかし、貞勝による座の安堵等、信長の政策に漸進的な側面があったこと、何よりも歴史の研究とは地味な作業の積み重ねと論理的思考の上に成り立つことがよくわかった。歴史の名脇役に光をあてた良書である。
信長の京都支配を一手に担った吏僚 ★★★★☆
信長の天下(京都)所司代として京都支配を担った吏僚・村井貞勝の
実際の施政行動を緻密に追った研究書。
朝廷や公家、寺社に対する丁寧な配慮が浮かび上がり、
朝廷側も貞勝を頼りにして何かと依頼や相談事をしている。
それまで荘園も略奪され、経済的に困窮していた彼らにしてみたら
非常に頼りになる存在であったに違いない。
所領安堵や土木事業、裁判、治安維持まで含めあらゆる機能が集中しており、
相当忙しかったであろうと推察される。
その様子が公家や神官の日記に基づき具体的に描写されている。

彼は本能寺の変で、二条御所に立てこもった信忠と運命を共にし殉じている。
歴史にifは禁物だが、彼らが京都支配で培った情報・人脈を駆使して
信忠を何とか逃すことに成功していれば歴史は大きく変わったに違いない。
また彼と同じような信長の吏僚は、知行を独自に持たなかったあまり、
信長政権の崩壊と共に歴史の表舞台から消えていったという事実も興味深い。
彼が逃げのびたとしてもまた同様の運命をたどっていたのだろうか…。
電話もメールもない時代に ★★★★★
羽柴秀吉や前田利家、明智光秀などいわゆる武功派の家臣は、
これまでも取り上げられてきましたが、村井貞勝は吏僚のため
戦場での派手な活躍はありません。
朝廷や公家の力が現代よりもずっと強かった時代に
織田家の本拠地・岐阜から遠く離れた首都京都において
次々と旧弊を打破し『革命児』と称された信長の意を汲んで
吏僚としてその責務を立派に果たした村井貞勝。
電話もメールのない時代に、その功績は際立っています。
能吏とはまさしく彼のことを言うのかもしれません。
現代のビジネスマンにとっても役立つことが書かれています。
史実に忠実 ★★★★★
いつも、谷口先生の書籍は必ず購入して読ませていただいているが、今回の内容も一級史料を用いて、事細かく村井貞勝の一生についてまとめ上げている。非常に読みやすく一気に読んでしまった。戦場ではなく実務面で貞勝が活躍していたことがよく理解できた。朝廷とのパイプ役で奔走しており、本能寺の変には信忠を支え、最後まで織田家のために尽くした人物である。今回の場合でもそうだが、貞勝の邸宅は本能寺のすぐ近くであり、明智の軍が襲撃していた時に邸宅を出て、信忠と合流ができ、信忠も妙覚寺という近くにいて二条御所まで移動して立てこもっている。それだけの移動できる時間と明智の軍とも衝突していない。やはり光秀の本能寺襲撃計画がどこまで考えられたものか疑問である。私的にはこの時間に信忠には逃げてほしかった。