魅力ある作品
★★★☆☆
偶然耳にした息子大治郎の暗殺計画。刺客となる波川周蔵は、並みの腕前ではない。危機感を
抱いた秋山小兵衛は、背後に潜む黒幕を探り出そうとするが・・・。「剣客商売」シリーズ14。
今回のシリーズでは、剣客としての秋山小兵衛ではなく、ひとりの父親としての小兵衛を描いて
いる。息子大治郎に迫る危機。何とか手を打たねばと、小兵衛は珍しくあせる。また、波川周蔵の
剣の腕前を知り、「大治郎がやられるかもしれない。」という不安感も拭えないでいる。父親として
息子を守ろうとする小兵衛に、大治郎への深い愛情を感じる。黒幕はいったい誰なのか?はたして
大治郎の運命は?手に汗握る心境で読み進めた。ラストは意外な展開になったが、読み手としては
ほっとさせられるものだった。「剣客商売」シリーズは短編が多いが、この作品は珍しく長編だ。
だが、最後まで面白く飽きることなく読める魅力的な作品だと思う。
これはなかなかの読みごたえ
★★★★★
剣客商売のシリーズも第14弾。
だいたいが、5,6編の中短編ふぁ一冊におさめられているが、シリーズ中いくつか長編がある。
本作は、そのうちの一つ。270ページ余りの長編です。
なかなか複雑で厳しいドラマも有り、読みごたえがある。
剣客商売の番外編である「黒白(こくびゃく)」に通じるところがあり、剣客と言うものの宿命、
剣に生きるものの孤独と、一方で剣客だからこそ通じる心の機微。
剣客商売の多くの話は、秋山父子とその周囲の人びとの生活、人生を横軸に、剣に生きる剣客の
生き様を縦軸にしたものが多いが、本編はそれらの部分、特に前者が若干薄く、そのかわりに
徳川幕府の政治、社会の動きと言うものが前に出てくる、その意味でも異質な作品となっています。
一気に最後まで読んでしまう、実に面白い話でした。
長編です
★★★★☆
小兵衛おも戦慄させる剣客が大治郎の名を漏らした。この裏には必ず何かあると直感した小兵衛がいろいろと動くのですが、なかなか解りません。
この作品は、秋山親子より波切という剣客に焦点が合っています。
しかし、このキャラクター秋山親子に勝るとも劣らない良いキャラクターです。読む価値はありかと。