要因はズバリ主人公五郎太の性格に尽きる。とっても心優しい。
主人公のキャラがいいから、周りを取り巻く人々もとってもいい。
生活苦のために代書屋の内職をするかたわら、大好きな紀乃との結婚を果たすために必死に学問に励む五郎太が微笑ましい。
たまに喧嘩をするシーンなんかも上手く織り交ぜていて適度にやきもきさせてくれるところも心憎い。
代書に持ち込まれる騒動は1篇1篇人情味のある話が語られ連作短篇集ならではの特徴が!!出ていて作品全体としても機能している。
特に五郎太の師匠や恩師達(二階堂秀遠・橘和多利・大沢紫舟)の過去にまつわる話はどれも泣ける話となっている。
個人的なベストは「千もの言葉より」かなあ。
あえてファンとして苦言を呈すれば、最終編がちょっと書き急がれたような気がしてならない。
でもとにかく爽やかで暖かい作品なのは間違いない。
江戸時代の受験の実態もわかり、現代と同じく大変だったのだなあとちょっぴり切ない気分にもなりました。
女性の方、読まれて主人公に惚れてください。