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海の史劇 (新潮文庫)

価格: ¥961
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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海の史劇 (新潮文庫) [文庫] [May 27, 1981] 昭, 吉村
海の史劇 (新潮文庫) [文庫] [May 27, 1981] 昭, 吉村
かわいそうなロジェストヴェんスキー中将、のんきな乃木大将 ★★★★★
司馬遼太郎氏の「坂の上の雲」が昭和43年から47年にかけて産経新聞に連載された。一方、「海の史劇」は昭和45年「海と人間」と題して地方各紙に連載発表され、翌46年擱筆されたものでほぼ同時期の作品といえる。読者には二大歴史小説作家の書き比べと映ったのではないだろうか。
二〇三高地の戦いで、御前会議で天皇が旅順要塞より二〇三高地を攻撃して旅順港のロシア艦隊の殲滅を優先すべきと決裁したにもかかわらず、乃木大将は追加された第七軍を旅順要塞の正面攻撃に失いった。自分の面子にこだわったというべきである。一時児玉源太郎大将が乃木大将から指揮権を取り上げ、一気に二〇三高地を落として、目的の旅順港内のロシア艦隊を猛砲撃で撃沈させる。児玉源太郎は第三軍を解体するところであったが、部下に思い留めさせられ、乃木の面子はつぶされずに済んだ。後に乃木が英雄として祭り上げられるが、これはある意味で敗戦を国民の目から隠したことになり、陸軍の無責任体制の原因になっているのではないかと感じた。天皇を無視して兵を動かし、多数の死者を出したことは、統帥権干犯にあたり軍事法廷にかけるべき内容であったはずだ。責任をとるべきダメな軍指導者の面子を守る悪しき前例を作った気がする。
対する第二太平洋艦隊を指揮したロジェストヴェンスキー中将は可哀相である。マダカスカル島のノーシーベー湾で第三太平洋艦隊と合流せよとの皇帝の命令に釘付けされ、日本の連合艦隊に修理の時間を与えてしまった結果、勝機を逸してしまう。
ボリューム的にも読みやすいお勧めの一冊 ★★★★★
本書は、日露戦争における日本海海戦をロシア側の事情を中心に再現した歴史小説である。ボリューム的に読みやすいお勧めの一冊といえるが、できれば「ポーツマスの旗」、そして司馬遼太郎の「坂の上の雲」とセットで読んでほしい。

私は、先に「坂の上の雲」を読んだ折りに、ロジェストヴェンスキー提督に能力がなくて日本側が運よく勝てた部分もあったのかなと思ったが、本書を読んでみて、彼は基本的に優勝な軍人であり、彼に率いられたロシア軍も最善を尽くしたのであって、それにもかかわらず日本が勝ったという認識に変わった。・・・簡単に言ってしまうとそういうことだが、状況はかなり複雑であって、全体を網羅的に理解するにはとにかく読んでみるしかないだろう。

後半はポーツマス条約締結に関する話になる。私は、先に「ポーツマスの旗」を読んで話の筋を知っていたのだが、そのなかで小村全権が政府方針を翻して満州利権をアメリカと共有せず日本独占としてしまったのが何故だったのかよく分からなかった。しかし、本書を読んで分かった。彼が政府案を飲んでいたら、彼はおそらく日本国民に殺されていただろう。それほど、当時の日本国民は社会認識の未熟な国民だったのだ。このことが、このあと日本国民を不幸のどん底に貶めていくのだが、そのあたりの状況が、本書を読んで良く理解できた。

とりあえず、痛快な気分に浸れる ★★★★★
司馬 遼太郎著『坂の上の雲』の日本海海戦に関する部分に比べると、本書の方がロシア側の事情を詳しく書いている。バルチック艦隊が、多くの障害を乗り越えて日本にたどり着いたと言うことがよくわかる。ゆえに、ロジェストヴェンスキーに対する評価も、本書を読んだ方が高くなるだろう。

仮に、日露戦争前に戦意高揚のための連合艦隊 vs ロシア艦隊の海戦を描く映画を作ることになったとして、実際の日本海海戦のようなシナリオを書いたら、あまりにも現実離れしているとして却下されたのではないかと思う。それほど日本側の一方的勝利に終わった海戦なので、日本人が本書を読めば痛快な気分に浸れることは間違いない。
日本海海戦 ★★★★★
日本海海戦を詳細に記した本です。開戦前のバルチック艦隊や日本海軍の様子から書かれています。特に遠くバルト海から日本海への回航の様子が詳しいです。勿論、日本海海戦の様子も詳細に書かれています。海戦後のロシア捕虜の様子、戦後の講和条約締結時の日本およびロシアの国内事情も詳しいです。また、捕虜帰国時のロシア革命の様子、敗将たちの軍法会議の結果や消息も書かれています。日本海海戦について、あらゆる角度から詳細に書かれた本です。面白いです。長い本ですが、面白いと思います。
坂の上の雲とは違った視点で楽しめる日露戦争物語 ★★★★★
 司馬遼太郎の名作「坂の上の雲」を読んだ人には「もう読まなくてもストーリーはだいたいわかるからいいや」と敬遠する人もいることと思う。しかし本作は「坂の上の雲」を読んだ読者にも楽しめる作品で、司馬氏は秋山兄弟を中心にまとめていたが、本作はバルチック艦隊のロジェストヴェンスキー提督を中心にまとめている。僕はこの作品を読んで、愚将と酷評されることもあるロジェスト提督のイメージが激変した。よくあんな状況でバルチック大艦隊を日本海まで引っ張ってこれたと同情してしまう。「坂の上」では詳しく取り上げられなかったロジェスト提督のシベリア鉄道経由の帰路は余りにも情けなく、不安定な政治の恐ろしさを感じずにはいられない。小村寿太郎とウイッテのバトルについてはポーツマスの旗に詳しいが、日露戦争の概要を一冊で確認したい人にはお勧めの本です。