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日本・日本語・日本人 (新潮選書)

価格: ¥1,296
カテゴリ: 単行本
ブランド: 新潮社
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日本の中核価値は日本語の中に納まっている ★★★★★
 レビュータイトルは第一部三者鼎談(大野晋、森本哲郎、鈴木孝夫)の締めくくりでの鈴木氏(言語社会学者)の発言をそのまま頂戴しました。
 まったくそのとおりで、身近な衣食住にはじまってもう少し大きな政治、経済、文化、果ては日本列島をとりまく気候風土に至るまで、日本列島の住人のすべてが日本語に詰まっています。つまり、この言語で我々は身のまわりの森羅万象を表現しています。
 問題はまさに「中核価値」の中身や水準にあるのでしょう。
 この点について、森本氏と鈴木氏は現状悲観的。大野氏だけが条件付きで希望を残しています。そして、その条件が日本人が日本語に取り組む姿勢の中にあるとの主張には勇気づけられます。
 『文明が力を持つために大事なことは、やっぱり、ものをよく見るということじゃないかと思います。感じるのではなくて、見る』『物をよく見て、構造的に体系的に考えをまとめるという習慣を養わない限り、日本人はこれからの世界を生きて行けない。一瞬の美を感じて和歌や俳句を作っているだけでは、間に合わない。行政でも会社運営でも、事実、真実に対して謙虚に論理的に見抜く習慣を養わないと駄目だ』(本書p38から)
 何やら文明開化の時期に福沢諭吉や大久保利通が国民の実状を前に夜中自室で一人呟くのを耳にしているようですが、150年後の今、まさにもう一度省みて姿勢を正すべきときにきているのでしょう。
 しかし、これならば努力して実践できます。無理無体な条件では決してない。主導権はいまも、我々の手中にあるのです。
一意見として ★★★★☆
学ぶべき事が多いので、星を4としました。
内容は各々の先生方の著書を読まれてきた方は勿論、言葉に興味のある方、研究に携わっている方に、つまり、万人に読まれて然るべき良書だと思う。
ただ、このような形式ですと、先生方の「俗」っぽい処も垣間見てしまうのが常なんですね。些か、「残念」に思える発言が幾つかあるのは確かです。
特に、若い方にはその部分が解せると思います。
言葉に興味のある人に、やさしいけど深い、思い当たること多し ★★★★☆
碩学3人の対談、隠居の小言のように始まるが、時事ネタのようなありがちなトッピックから「言葉とは、日本人にとって日本語とは」という本質的な事柄に迫ってくる、何か説明してやろうという感じではなく、どんな切り口でも、なにか本質的なものがにじみ出てしまう、この分野の巨人たち。現在の日本語教育に大不満の大正生まれの3人だが

対談のときの気分が将来に対して楽観論の大野氏に対する悲観論の森本氏やや中立の鈴木氏とアンサンブルがとれている。対談のほかに3人それぞれ自説を短く紹介する文章を載せているが、大野氏の日本語の起源に関する文章を読むだけでもこの本を読む価値はある

言語学者が放つ「ゆとり教育」への痛烈な批判 ★★★★★
 「日本語練習帳」で有名な大野晋氏と森本卓朗氏のお兄さんである森本哲郎氏、そして「ことばと文化」で有名な鈴木孝夫氏の三者鼎談の形で面白おかしく繰り広げられる本です。

 この三人を見ると、一見しただけでも「保守派の人間たち」である事は事実です。

 特に鈴木孝夫氏に至っては、「大東亜戦争」と言う言葉を肯定的な意味で平気で使っていらっしゃり、これでは岩波書店から追放されてしまいかねないではないか?と危惧の念を抱きました。

 しかし、そのような極端な意見を除いて、現在の医療、福祉、経済や文化の世界等で、使っている当事者でもその本当の意味が分からないような外来語が「丸呑み」の形で輸入されている現状に対して、このような現象が日本人の論理的思考法をますます弱まらせる結果になっている、と批判していらっしゃる点は、説得力がある話であると考えます。

 そして、戦後に「常用漢字表」の制定で、日本人の漢字に関する関心が薄れてしまい、個々の漢字が持っている細かい意味の差異を理解できなくなってしまい、これが日本語に関する内省的理解を妨げる結果となったと主張なさっています。

 そして、その根拠として、大野氏の議論のように、日本語は最初から純粋にあったものではなく、古代のタミール語等の外国語等から色々な概念を借りてきたものであり、論理的な思考法は漢文の力を借りて初めて可能となったのだと主張しているのです。

 更に三浦朱門氏や宮台真司氏などの進める「ゆとり教育」が、却って子供から教育の機会を奪うものであって、日本の教育を荒廃さ!せるだけの「百害あって一利なし」の議論であると三者は揃って強いことばで批判なさっていらっしゃいます。

 極端な意見があることはともあれ、この本の大筋を見てみると、日本の言語教育を考える上で、貴重な意見である事は否定できません。

日本・日本語・日本人 ★★★★★
改めて日本人と日本語とは何なのかを問い直す。普段我々は横文字を格好の良いものと認識して愛用しているが、それは正しい認識なのだろうか。保守の真髄はここにあると思う。