何処までも澄み切って、そして孤独な物語的詩集
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一昨日のコンサートで聞いたバッハとイザイの無伴奏ヴァイオリンソナタとパルティータに何か通じるものを感じました。どこまでも澄み切っていて、孤独、そして時に物悲しく、時に運命的です。
カーヴァーに「あなたの詩はときとして小説のように見える・・・」と村上さんが実際話しかけたように、短編小説の物語性を強く感じ、それぞれの詩から孤独や悲しみから希望まで様々なメッセージを受け取りました。
詩の根底に流れるのは正に村上さんが指摘した「罪の意識」と「喪失感」であり、それが故に私はシンパシーをとても強く感じました。カーヴァー同様、家庭(別れた妻や子供)に対する罪の意識を持つ方には特に大きな意味をなす詩集になると思います。