The Life Pursuit (digipak)
価格: ¥1,242
さあ、自由気ままになろう。スチュアート・マードック率いる大所帯バンドが『The Life Pursuit』でそう歌っている。「Take Your Carriage Clock and Shove It(邦題「そして男は時計を捨てた」)」も「Get Me Away from Here, I'm Dying(邦題「消えてしまいそうな僕を連れ出して」)」もこのアルバムにはない。ベル・アンド・セバスチャンの初期の頃に比べると、どうやら人生は楽なものになったようだ。2003年の『Dear Catastrophe Waitress(邦題『ヤァ! カタストロフィ・ウェイトレス』)』で、ベルセバは70年代の影響にどっぷりと浸っていたから、今回は陽気にいこう。ノーマン・グリーンバウムの「Spirit in the Sky」は、ベルセバの愉快な「White Collar Boy」やその後日談にあたる前作収録「Step Into My Office, Baby(邦題「オフィス・ベイビー」)」を負かしていないか? それに、「The Blues Are Still Blue(邦題「汚れなきブルー」)」のオープニングに聞こえるTレックスのタッチはどうだ? だが、心配はいらない。ベルセバは彼らの輝きを無傷で保っている。ふわふわとした軽快な足取りが、いまでもベルセバの基本だ。楽天的で気ままなな部分が魅力は、ものが70年代のファンクとサイケデリアの融合といった感のある「Song for Sunshine」であっても、発揮されている。全体を通して鮮やかで軽やか(タイトルを見ればそれがわかる。「Another Sunny Day(邦題「その日もサニーデイ」)」、「Funny Little Frog」)、記憶に残る健全さと、おなじみの弾むようなリズムが、このアルバムを形づくっている。ゆったりとした「Dress Up in You」や「Mornington Crescent」は広がりがあって愛らしく、伸び伸びとしている。とりわけ、「For the Price of a Cup of Tea」はタイトルを見ただけで、一緒に口ずさみたくなる曲だ。